大阪発「コタツ就活」、企業との出会い方に魔法をかける合同説明会をレポート

2月下旬、大阪で「コタツ就活」が開かれた


実際どうだったのか?コタツ就活、全貌をレポート 


コタツ就活
各企業のコタツブースにはみかん。チラシ製のゴミ箱に「緊張がほぐれました」と就活生

ここからは、当日の様子をレポートします。

参加企業は全44社。「毎日放送」「フェリシモ」「スープストックトーキョー」などの有名企業から、八百屋業を営む「八百鮮」、製造・販売業である「中西金属工業」などの中小企業まで、規模はさまざま。意外な業種としては、450余年の歴史を持つ滋賀の古酒蔵「冨田酒造」や、自動車教習所の「茨木ドライビングスクール」、DEAF(聴覚障害者)とともに無言語コミュニケーションでの研修やコンサルティング事業を行う「Silent Voice」など。主に関西を拠点に事業展開する企業が中心です。

就活生は201人が集まりました。コタツに入ることもあり、服装は自由。デニムにベレー帽の男子大学生は「この格好が一番ありのままの自分が出る。その自分が合う所で働きたいと思って」と話していました。

一般的な合説は、企業ブースを自由に周遊する形式ですが、「コタツ就活EXPO」はプログラム型。全5ターンある交流タイムのうち、最初の3ターンは指定席、残り2ターンは自由席。この「指定席」が、後に多くの運命的な出会いを生みます。

コタツ就活
午前の第1部、午後の第2部に分かれて、全44社が参加

「みなさん、コタツ就活EXPOにようこそ!」FM802のラジオDJ、中島ヒロト氏の進行でオープニングを迎える。コタツにみかん、聞き慣れたラジオの声…さながら誰かの家で集まったかのような気持ちになります。

コタツ就活
関西でリスナー数1位を誇るFM802の人気DJ、中島ヒロトさん。就活生の肩の力をほぐしていく。

一番笑いが起きていたのは、交流タイムの前におこなわれた各企業による1分間のプレゼンテーションです。フリップを使ったクイズ形式にしたり、ハッシュタグ#で特徴をまとめたり…創意工夫に、どの企業へも大きな拍手が贈られていました。

コタツ就活
その他、寸劇仕立てだったり、他企業と絡むアドリブが入ったり…会場には笑い声が溢れた

そして、いざ交流タイムが始まるのですが、どのコタツからも「弊社の理念は…」なんて言葉は聞こえません。「就活どう?」「へー!滋賀県から来てるんや!」「あ、僕もキャンプ好き!休みの日は家族と…」自己紹介から始まる他愛もない会話に、ある学生はこう話します。

「Webやパンフレットに書いてあることは、興味を持てば、あとで調べるのにな…っていつも思ってて。今日は、趣味の話から入って、そしたらまず人自体に興味が湧いて。そこから働く理由や考え方の話になって…もうずっと前のめりで聞いていました」

未経験の仕事や事業の話題より、休日の過ごし方や企業担当者の就活話など、学生にも身近な話題からの方が、スッと入ってくるのでしょう。

コタツ就活
会場は超満員。みんな前のめりになって会話が弾むのも、コタツ就活ならでは

さまざまな仕掛けの中で「質問カード」も一翼を担いました。「どんな人と一緒に働きたいですか」「理想な働き方ってどんな働き方ですか」など、企業側と学生側の「働く上・仕事探しをする上での価値観」が垣間見えるような問いかけが全12枚。トランプのように使うコタツもあり、盛り上がりを見せていました。

コタツ就活
「企業への質問」と「学生への質問」、双方にあることも好評だった

 「会社の話はほとんどしていません」偶然の出会いで意気投合も


どんなコミュニケーションがおこなわれたのか企業側にも聞いてみると、「会社の話はほぼしていません」という回答が返ってきました。

「業界に興味がない人にどう伝えよう…と思い、なぜここに座ってくれたの?という切り口で喋りました」

「まず、学生の趣味や興味を聞いてて。そうすると自然に、それとうちの仕事がどう繋がっているかの話になりました」

「就活のアドバイスや人生相談に発展しましたね。でも、そのほうがスタンスが良く見えて…」

まさに今回のコタツ就活EXPOのテーマである、“どんな仕事をするか”を超えて、“どんな人生にするか” です。

コタツ就活
「企業のスタッフ同士のコミュニケーションの在り方を見ていた」という就活生も

このほかにも、こんな声が挙がりました。

「和気藹々とした雰囲気から、結構ウッとなる切り込んだ質問も生まれて、すごく興味を持った」

「いつもの説明会は1対1、1問1答みたいになる。説明して、質問されて、それに答えて、次の話。でも、コタツは円。全員が向かい合っているので、会話のラリーが何回も続いた。すると、その中で出るちょっとしたリアクションや言葉の使い方から、人となりがよく見えたりして…」

質疑応答についても、変化があった模様です。

コタツ就活
写真で見ると、企業側なのか学生なのか分からないほどに、距離が縮まっていた
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文=島田彩

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