音楽、メディア、エンターテインメントビジネスを担当。

Photo by Gregg DeGuire/FilmMagic

ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)のルシアン・グレンジCEOが、新型コロナウイルスに感染したと診断され、UCLAメディカルセンターで治療を受けていることが複数の情報筋から確認された。グレンジは音楽業界で最大の権力を握る人物だけに、その動向に注目が集まっている。

UMGはテイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュ、ドレイクなど現代の音楽シーンを代表するアーティストらの所属元だ。同社はここ数年、ストリーミング収入によって売上を伸ばし、IPOの準備も進めていた。

グレンジの感染の報せを受けて、音楽業界に動揺が広がっている。報道によると彼は、2月末に60歳の誕生日パーティーを開催し、アップルのティム・クックCEOや著名マネージャーのアーヴィン・エイゾフらも出席したとされる。アップルはこの件に関しコメントを避けたが、関係筋によってエイゾフの出席は確認された。

巨大企業であるUMGの指揮をとるグレンジは、常に複数の補佐役を従え、業界の大物との折衝を行っていた。音楽業界においても、他の業種と同様にトップの判断を現場レベルに落とし込み、オペレーションを行うことが重要だ。グレンジの不在が、今後のUMGの業務に多大な影響を及ぼす可能性もある。

感染拡大を受け、音楽業界では大規模イベントのキャンセルが相次いでいた。エンターテイメント業界は現在、直近の課題への対応に追われている。

業界にとって最大の売上の柱であるライブイベントの中止が相次ぎ、復旧のめども立たない中で、混乱が広がりつつある。SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)に続き、コーチェラなどの巨大フェスティバルが中止になり、ビリー・アイリッシュやパール・ジャムなどの大物アーティストのライブも延期になった。さらに、著名アーティストのレコーディングの中止も相次いでいる。

株式市場では音楽関連企業の株価は大幅な下落となっている。コンサート運営を行うライブネーションの株価は、ここ3週間で約2分の1にまで下落した。ストリーミングのスポティファイですら、過去10日間ほどで20%も株価を下げている。

UMGのトップを務めるグレンジの感染発覚は、音楽業界に多大な衝撃を与えたことは確かだ。しかし、音楽ビジネスは今後さらに巨大な大波に襲われるのかもしれない。

業界の著名マネージャーの一人はこう述べた。「これは音楽業界だけの問題ではない。感染拡大にどう立ち向かうかは、すべての人類にとっての課題だ」

編集=上田裕資

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