経済・社会

2020.03.16 21:00

大統領選に挑んだ大富豪 マイケル・ブルームバーグのキャリアと野心

Getty Images

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大手情報サービス会社「ブルームバーグ」の創業者で、前ニューヨーク市長を務めたマイケル・ブルームバーグ。世界長者番付の常連でもある彼は、最終的には撤退を余儀なくされたものの、2020年のアメリカ大統領選挙に出馬をするなど、70代になった今も精力的に幅広い舞台で活動を続けている。

実業家、政治家として卓越した実績をあげてきた彼の人生の足跡をたどる。

金融業界で頭角を表し、世界でも有数の大富豪へ


マイケル・ブルームバーグは1942年、マサチューセッツ州でポーランドからのユダヤ系移民の両親のもとに生まれた。64年にジョンズ・ホプキンス大学電気工学科を卒業し、ハーバード・ビジネス・スクールで経営管理学修士号(MBA)を取得した。

大手証券会社「ソロモン・ブラザーズ」でキャリアをスタートし、30代で共同経営者という重役にまで上り詰めたが、81年に商品取引会社「フィブロ」に同社が買収されたことに伴い、解雇されている。

退職金を元手に、81年に「ブルームバーグ」を設立。「ロイター」と「ダウ・ジョーンズ」の独壇場だった、ウォール街の金融情報端末事業に参入を果たした。マンションの一室から始まった会社だったが、現在に至るまでに、従業員数は全世界に約19000名、推定総売上は100億ドルを超えるまでに成長した。

2019年、フォーブスの世界長者番付でブルームバーグは、総資産555億ドルとして9位にランクインした。


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ニューヨーク市長としてのキャリア


ブルームバーグは長年、民主党員だったが、01年に共和党にくら替えし、同年の秋、ルドルフ・ジュリアーニの後任を決めるニューヨーク市長選挙に共和党から立候補した。

アメリカ同時多発テロ事件の対応にあたったジュリアーニからの高い評価を味方に、ニューヨーク市長に選出。02年1月1日にニューヨーク市長に就任した。

05年のニューヨーク市長選挙では、超党派の幅広い支持を受け、民主党候補に大差をつけて再選。07年には共和党を離党し、以後は無所属で活動する意向を表明した。

08年にはニューヨーク市議会が市長3選禁止規定を撤廃する議案を可決。市長3選禁止規定の撤廃には反対意見も強かったが、自らも署名して3選に向けた道筋をつける。

そして09年、民主党から出馬したニューヨーク市監査役のウィリアム・トンプソンとの選挙戦を制して3選を果たした。10年のニューヨーク市民を対象とした人気調査では、過去30年間の歴代市長のトップに輝いている。

13年12月31日に任期満了で退任するまでの実績として、アメリカ同時多発テロ事件からの復興や銃犯罪対策、気候変動対策などが挙げられる。

アメリカ大統領選挙への野心


ブルームバーグはニューヨーク市長退任後の14年、ブルームバーグにCEOとして復帰した。また、同年にアントニオ・グテーレス国連事務総長から都市・気候変動担当の国連特使に任命された。ブルームバーグは気候変動対策や銃規制の強化に取り組んでおり、多額の寄付も行っている。

そして16年、アメリカ合衆国大統領選挙への出馬を検討していることが明らかになったが、「ブルームバーグビュー」への寄稿で、「米国民の結束力を弱め、未来を暗くするような候補の選出につながる役割は演じたくない」と明らかにして、出馬見送りを表明した。

18年10月、民主党員としての登録を行い、01年以来となる民主党への復帰を果たした。そして19年11月、「トランプを倒し、米国を再建する」との声明を出し、20年の大統領選に名乗りを上げた。

圧倒的な資金力を背景に、選挙費用を寄付ではなく自己資金で賄い、他の候補が太刀打ちできない広告費を投入したものの、支持率が伸び悩み、3月4日に撤退を表明。自身が退いた後の大統領候補指名争いでは、ジョー・バイデン前副大統領を支持する考えを示している。

文=谷村光二 写真=gettyimages

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