現実問題として、心の健康は体の健康と同様に重要であり、生産性にも大きく影響する。メンタルヘルスの問題は昔からスティグマが伴っていたが、今や職場での問題として注目されるようになり、企業は支援方法を学び始めている。
現代的な仕事スペースを提供するスタートアップ企業ROOMでは、メンタルヘルスを優先事項のひとつとして掲げ、事業の中心にウェルネスを据えている。
同社の人事・文化責任者Peter Boeghは「私たちは10月、睡眠と瞑想(めいそう)の世界ナンバー1のアプリ『Calm』と提携し、『The Calm Booth by ROOM』を立ち上げた。オフィス内で瞑想するためのブースで、職場でのウェルネス促進のソリューションともなる。もちろん、自社の社員向けにブースを用意しており、息抜きが必要と感じた時にいつでも使用するよう奨励している。これらのブースを用意して、従業員にマインドフルネスを意識しながら休憩できる環境を提供することは、メンタルヘルスの維持を促進するための小さな一歩だ」
人材を惹きつけて保持するために、企業は(メンタルヘルスを含む)個人のニーズが優先されることを確認する必要がある。そのため、管理職は、メンタルヘルスの問題が仕事を1〜2日休むための正当な理由であるという認識を持たなければいけない。
「メンタルヘルス休暇」を取ることを躊躇(ちゅうちょ)している人は、人事部長に社内規定について相談してみよう。自分のケアをためらってはいけない。社内規定を悪用しない限り、休養を取っても誰も咎めたりしない。自分のニーズについては正直になること。自分が思っているよりも自社にはメンタルヘルス問題に対する理解があるかもしれない。
企業側としては、管理職と部下とのメンタルヘルスに関する会話を促す社内規定を導入することもできる。前出のBoeghは「当社の従業員には入社初日から、上司とオープンに会話するように勧めている。私生活を全てさらけ出せという訳ではなく、健全で互いを尊重する職場習慣を皆で作ろうということ」と言う。
数日間のメンタルヘルス休暇では不十分な場合、ストレスの原因を考え、必要に応じて専門家に相談しよう。身体的な健康を気にするのと同様に、精神の健康状態にも気を配るべきだ。
職場でのメンタルヘルスについてオープンになればなるほど、社内規定や社内の雰囲気も変わりやすくなる。透明性を持ち、問題を認識するきっかけを、どこかで作る必要がある。変化のきっかけは、メンタルヘルス休暇が必要であることを説明する1通のメールから始まるかもしれない。