大量の食材が無駄になる米国の家庭 毎年約3分の1が廃棄に

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ペンシルベニア州立大学の新たな調査からは、米国の家庭では毎年、購入される食品の約3分の1が無駄になっていることが明らかになった。今回の調査結果は、米国人が食品のおよそ30〜40%を無駄にしていることを示すこれまでの研究と類似している。

食品廃棄のデータ


米国農業経済ジャーナル(American Journal of Agricultural Economics)に先日発表された同研究からは、平均的な米国の家庭が食品の31.9%を無駄にしていることが分かった。無駄になった食品の年間費用の総計は2400億ドル(約26兆5000億円)ほどと推定されており、1家庭につき1866ドル(約20万6000円)だ。データの情報源となったのは、約4000家庭を網羅した米農務省の全国家庭食品獲得・購入調査(FoodAPS)だ。

研究者らは、収入が多く、より健康的な食生活を送っている家庭の方が低収入の家庭に比べて多くの食品を無駄にしていたことに気づいた。健康的な食生活はより多くの果物や野菜、その他の腐りやすい商品を含むことが多いため、食品廃棄の一部は家庭で消費する前に食べ物が腐ってしまうことにより説明できる。研究者らは、健康的な食事を奨励するプログラムにより意図せず食品廃棄が助長されている可能性があると指摘した。

家族の人数が多い家庭や、連邦食料購入補助制度の補助的栄養支援プログラム(SNAP)を受給している家庭など、一部の家庭では無駄にする食品の量が少なかった。また研究の著者らは、買い物リストを使い、食料品店から遠い場所に住んでいる場合、無駄になる食料品が少なかったと述べている。しかし最も無駄が少ない家庭でさえ、購入した食品の8.7%を無駄にしていた。

食品廃棄物との闘い


同調査は消費者の家庭に焦点を当てたものだが、米国で生産される食品の大部分は食卓に上ることさえない。収穫から出荷、スーパーでの販売に至るプロセスでは、腐敗や廃棄がどの時点でも起き得るからだ。

米国では、およそ3300万トンの食品が毎年焼却処理されるか埋め立てられており、家庭にたどり着くはるか前に捨てられている。汚れがあり見た目が悪い、大きさがふぞろいで買い物客が混乱するなど、農産物がごみとして捨てられてしまう理由は多い。近年では、インパーフェクト・フーズ(Imperfect Foods)やミスフィッツ・マーケット(Misfits Market)のような企業がこうした食品の廃棄を防ごうとしているが、実質的な影響を与えるにはさらに多くの取り組みが必要だ。

食には適さないと見なされる見た目の悪いリンゴだけが米国の食品廃棄の要因ではない。一部の食品は労働力不足や農産物の価格低下、(レタスの回収のような)食品安全を巡る懸念により全く収穫されず、放置されてそのまま腐ってしまう。

家庭に対し、買い物リストを使うか、食べられる分だけを買うよう促すことで食品廃棄の一部が減らせるかもしれない。しかし、完全に無駄をなくすには、食品生産プロセス全体での改善が必要だ。

翻訳・編集=出田静

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