ロケット不要で衛星を打ち上げる「謎のスタートアップ」の野望

Andrey Armyagov / Shuttertstock.com

カリフォルニア州本拠の宇宙スタートアップ「SpinLaunch」は先日、3500万ドル(約38億円)を追加で調達したとアナウンスした。SpinLaunchは「回転加速方式」により高速で移動するビークルで、衛星を宇宙に送り込もうとしている。

新たな資金で同社はニューメキシコ州アプハムで建設中の世界初の商業用宇宙港「スペースポート・アメリカ」にテスト拠点を開設し、カリフォルニア州ロングビーチに新たな本社を立ち上げると宣言した。

今回の資金調達には、Airbus VenturesやGV、KPCB、Catapult VenturesやLauder Partnersや著名投資家のジョン・ドーア、Byers Familyらが参加した。SpinLaunchはこれまで累計で約8000万ドル(約87億円)を調達している。

SpinLaunchは同社のテクノロジーの詳細を公開しておらず、公式サイトのトップページにはロゴが掲載されているのみで、別ページで約20人の新規スタッフを募集している。

2014年設立の同社は2018年になって打ち上げ計画を開示した。SpinLaunchの打ち上げビークルは運動エネルギー(kinetic energy)により、音速の数倍に達する速度で衛星を軌道に送り込む。

同社は以前に開示した資料で、真空のチューブ内を旋回するビークルが衛星を運ぶ模様を描写した。衛星が大気圏の上部に達すると、ロケットが噴射され軌道に送り込まれるシステムとされた。

報道によると、SpinLaunchの初の商用打ち上げは2022年に予定されているという。同社は先日の声明で初回のテストを2020年後半に実施すると述べた。SpinLaunchの長期的ゴールは、1日に複数回の衛星打ち上げを、従来のロケット企業よりも低価格で実現することだという。

「当社は今年後半にスペースポート・アメリカでテスト打ち上げを実施し、ロケット打ち上げ分野に革新をもたらす計画だ」とSpinLaunchのCEOのJonathan Yaneyは声明で述べた。

編集=上田裕資

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