経済・社会

2020.01.21 07:30

FRBは怪物級のバブルを生み出している


史上最大の金融緩和政策の歴史

1987年から2006年まで第13代議長を務めたアラン・グリーンスパン(Alan Greenspan)の時代に始まった金融緩和政策は、いまや30年を超えている。緩和の程度はますます大きくなり、それに伴って金利も低くなっている。この政策により一連の資産バブルが生じ、そのバブルが崩壊して経済に大混乱を引き起こした。

人為的低金利により不動産バブルが発生。規制の失敗によってそれが悪化し、実質的に破綻した金融システムが、その勢いをさらに煽った。そして、システムが完全に炎上すると、世間は放火犯に消火を依頼した。

たしかに、最初の危機の際には、FRBに流動性を提供してもらう必要があった。だがその後も、FRBがあまりにも長期にわたって低すぎる金利を維持したために、富と収入の格差が強化され、新たなバブルが生まれた。そうした問題に、我々はそう遠くない将来、対処しなければならないだろう。

これは、「美しいデレバレッジ」と呼ばれるようなものではなかった。そこから生まれたのは、醜いバブルと資本配分の歪みだ。FRBはそもそも、そうしたバブルをつくりだすべきではなかったのだ。

危機に向かって

テーブルを囲む12人の男女が、短期金利という世界で最も重要な価格を、市場そのものよりもうまく決定することができる──そうした単純なうぬぼれには、綻びが生じ始めている。

現在のサイクルでは、あまりにも長期にわたって低すぎる金利を維持したために、資本配分の大きな歪みが生じた。その結果、米国やそのほかの国で、ビジネス界の少なからぬ部分が「金融化」することになった。

いまや、売上を上げた経営陣というよりは、株価を上げ、それにより自分たちのストックオプションや付与される株式の価値を高めた経営陣が、大きな報酬を手にするのが通例になっている。

調整された金融政策とは、問題であり、問題の解決策ではない。そして、その点で変化が起こる見込みはほとんどないと私は考えているが、金融政策が我々を次の危機から救ってくれるとも期待してはいない。

最後に書いたことを強調させてほしい。金融政策が我々を次の危機から救ってくれるとは期待できないばかりか、金融政策は次の危機の発生を後押しするだろう。そのプロセスは、すでに始まっている。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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