報告書によれば、2018年の時点で、中国で発表されたAI領域の論文は世界全体の28%を占めるまでにいたった。一方、ヨーロッパ全体で発表された論文の比率は27%となった。またレポートは、中国は2006年の時点ですでに刊行された論文およびプロシーディング(提出された論文を学会主催者側が確認し冊子にまとめたもの)の点数で米国を上回ったが、論文の影響力と解釈できる引用度に関しては、米国の出版物が中国のそれよりも約50%高い水準を維持していると指摘している。
なお1998年から2018年まで、AI関連の査読付き論文の数量は全体的に約300%増加し、査読付きジャーナル全体の3%、発表された論文の9%を占めるにいたったとレポートは報告している。
またレポートでは、AI分野の投資に関する統計も公開した。それによれば、中国のAIスタートアップは、米国のスタートアップに比べてより多い投資を受けているという。2018年7月から2019年の7月にかけ、中国では486社のスタートアップが合計で166億円の投資を受けたが、この数字は米国スタートアップのおよそ2倍多い金額となる。
中国のAI投資の絶対多数は、政府関連の支援・助成金だとされている。一方、米国では人工知能の主要な資金は企業によって捻出されている。AI開発においては、中国政府VS米民間企業という構図が浮かびあがってくる。
なお領域別で分けた際には、自律走行の領域が最も投資が活発だったという結果に。次いで「薬品」「がん治療」「顔認識」「映像コンテンツ」「詐欺検出」「財務」の順となった。
ますます過熱することが予想されるAI産業の覇権争いだが、2020年にはどのような風景が広がるのだろうか。
連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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