ビジネス

2019.12.25 07:00

起業家たちのトレンド予測! 2020年、社会はどう変わるのか?(前編)


アル 古川健介
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・2019年の予測
10年代で強化された「プラットフォームの時代」の勝負がつき、さらにソーシャルやスマホアプリの勝負もだいたいつきました。特に、「大規模な投資によってスタートアップが業界をディスラプトする」というものはほぼ終焉し、ひとつの時代が終わったという印象です。

スタートアップにとっては「次の波」を探さないといけない1年だったと思います。さらに、アメリカ、中国勢の強さはすでに異次元になっており、日本のスタートアップが真っ向から戦うのはかなり辛い状況になっています。その中で、ここ数年で出てきた日本独自のVTuberやD2Cなど、新しい波の中でも勝ち組と負け組がはっきりし、地道に事業を推進してきた実力派の企業以外は躓いてしまった印象があります。

10年代スタートアップの成功例が華やかにIPOをする中で、新たに起業した人たちにとっては、「波を探す」ところから考えないといけないという点で、起業の難易度が高い1年だったと感じています。
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・2020年のトレンド予測
20年代は、大企業とスタートアップの共創の時代の幕開けを強く感じる時代になると思います。たとえば、Layer Xのようなスタートアップが、大きな金融機関と組んでDXを推進する、という形です。軽いアセットのものは、すでに00年代〜10年代でプラットフォーマーによってディスラプトされました。言い換えれば、おいしいところはすでに狩りつくされていると言えます。残っているのは重いアセットを持った分野です。

20年代は、大企業のDXを推進するスタートアップが主流になってくると思います。日本はまだ大企業が強く、優秀な人材も大企業内に多くおり、さらに柔軟性も持ち合わせているケースが多くあり、ここにスタートアップとしての動きの速さが組み合わさることで、大きなインパクトを出すケースが出てくると思います。

ただ、20年にそれを感じることができるかどうかはわかりません。20年は、一見無風に見えつつも、種まきが順調に進行していくと思っています。

WIND AND SEAプロデューサー/エンジェル投資家 赤坂優

・2019年の振り返り
インスタグラムのフィードやストーリーズを活用したコストゼロ集客が一般化していることに加え、BASEやSTORES.jp、Shopifyなどの販売プラットフォームも充実し、エンジニアによる開発もほとんど必要ないということで、いわゆるD2Cが勃興した年でした。

パーソナライズ文脈では、ヘアケアの「MEDULLA」、スキンケアサプメントの「FUJIMI」、スーツオーダーの「FABLIC TOKYO」。バーティカルでは、150cm前後の女性向けファッションブランドの「COHINA」、ペットフードのD2Cなど、さまざまなスタートアップが台頭し始めた年でした。大手化粧品メーカーやアパレルメーカー、大手ファッションビルもこうした動きを見て、それらに投資・M&Aを検討する機会も増えたと思います。

・2020年のトレンド予測
個人的には、継続した新たなD2Cブランドの立ち上がりと、広義のMaaS(Mobility as a Service)に注目しています。D2Cについては、保存の効く冷凍食品との相性が良かったですし、このような食品分野において今後さらにD2Cブランドが増えていくと思います。若手スタートアップ経営者の年齢的に、パパさんママさんが少ないが故に比較的生まれにくいベビーやキッズ関連のD2Cなども出てきてよいと考えています。

また、自前でブランドをはじめる方々が増加するに伴い、それを影で支える「canal」のような梱包スタートアップも、米国ではすでに「Lumi」が大きく成長しており、今後期待できると思います。MaaSに関しては、ラストワンマイルの移動を担うLUUPなどのマイクロモビリティ以外にも、Mellowのようなビル下スペースを有効活用するプラットフォームがコストと利便性の側面からさらに成長していくでしょう。ウーバーイーツが既に大都市では広く普及していますが、この他にもデリバリー領域がさらなる成長を続けるのではないかと考えています。

アカツキ 塩田元規

・2019年の振り返り
受け取るがテーマ。ひとつ目のサイクルの終わりの年。2019年はアカツキが創業9年目の年で、10周年の2020年という新しい時代の始まりに向けて、今までのアカツキや自分たちのビジネスを見つめ直して、受け取ることを大切にした1年だったと思います。

僕個人としては、10月にはじめての著書である「ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力」を出版しました。今までの起業家人生で感じた大切なことを表現することが、僕にとってはひとつの完了であり、自分の起業家人生を受け取ることでもありました。

令和は英語で「Beautiful Harmony」ですが、まさに一人ひとりの感情を大切に、主体性と創造性を発揮して世界をカラフルに彩る新しい時代だと思っていて、そのために今までを振り返り見直す1年だったんだと思います。そのために、新しい種もたくさんまいています。

新年を迎えてすぐアカツキが東京ヴェルディの株式取得について発表し、3月には横浜に「アソビル」を開業、4月には「八月のシンデレラナイン」のアニメ化、6月には他の企業を巻き込んだ周年祭「ハートドリブンフェス」を開催しました。次の10年に向けて、受け取りながら種をまいた1年だったと思います。

・2020年のトレンド予測
共感の時代、多様性の時代といろんな言葉で表現されますが、僕はこれからの時代、合理や論理など目に見えるものから、ハートや感情など目に見えないものが中心となっていく時代への変化を加速させると思っています。ビジネスでも遊び心や感情を大切にすることが成長や成功の鍵になるし、それはすべての産業でおこると思っています。だから、エンターテイメントという人の心を動かす力が色々な産業に関わっていくと思います。

いろんな産業とエンタメが融合していくこと。そしてそれがデジタルとリアルの垣根なく融合していくことに興味を持っています。合わせて、これからの心の時代には、「Well doing」だけじゃなく「Well being」も大切になります。それを生かした経営や組織・コミュニティのあり方に興味があります。
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編集=Forbes JAPAN 編集部

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