ビジネス

2019.12.25 07:00

起業家たちのトレンド予測! 2020年、社会はどう変わるのか?(前編)


クラウドポート 藤田雄一郎

・2019年の振り返り
ビジネス全般で言えば、やはりPayサービスの覇権争いが大いに盛り上がった1年だったように思います。熾烈なシェア争いの中で各社が広告宣伝を強化し、結果として、一部の人にしか使われていなかっスマホ決済が、いよいよ高齢者や若者などの一般層にまで染み出してきた印象を受けます。

そんな中で突如、発表されたヤフーとLINEの経営統合には大きな衝撃が走りました。狭い国内市場で競争を続けるのではなく、共闘という選択肢をとった両社の意思決定に敬意を払うと共に、これから始まるグローバルでの戦いに向けて、どのような展開を考えているのか。いちユーザーとして楽しみです。

他方、私どもがビジネスを行う投資型クラウドファンディング業界も再編が進んだ激動の一年でした。最古参の企業が行政指導をきっかけに上場企業の傘下に入り、破竹の勢いで投資資金を集めていた企業が親会社の躓きによりサービス閉鎖に追い込まれるなど、ネガティブな話題も多かった一方で、マーケットは勢い衰えることなく拡大し続けています。個人が銀行や証券会社を介さず、直接企業に投資する流れは不可逆なものであり、今後もより一層拡大していくとの確信を強めることができた1年でした。

・2020年のトレンド予測
一部のプロ投資家にだけ開かれていた証券化市場が、個人にもより身近なものになることを期待しています。その背景にあるのが、今年の5月に可決され、2020年4月に施行される金融商品取引法の改正です。今回の改正により、デジタル証券(セキュリティトークン)のルールが規定されます。どのような形に着地するのか、現時点では不明瞭な部分も多いですが、ルールが整備されることによりビジネスの検討は格段に進めやすくなります。

既に一部の大手金融機関では実証実験を開始するなど、改正法施行後を見据えての動きが始まっています。不動産や売掛債権に留まらず、安定的なキャッシュフローを生みだす、あらゆるアセットが低コストで証券化され、個人の元に届けられる。そんな時代が、すぐ近くまで来ています。実現にはそれ相応の時間がかかりますが、数年後、振り返った時に、その最初の一歩が2020年であったとなるように思います。

コネヒト創業者 大湯俊介

・2019年の振り返り
2020年を前に、インターネット業界がそれ以外の産業に驚きを与えていく年だったなと思います。孫さん率いるビジョンファンドの一件や、Paypay、LINE Pay、メルカリによる決済戦争の本格化。と思えばヤフー、ZOZO、LINEなど合従連衡など、本当に一面を飾るようなニュースに事欠かない愉快な1年でした。

スタートアップにおいては資金調達に巨大な事例が増えつつも、一方でそれはエコノミクスの見えやすい事業やシリアルに寄っている印象で、大きく掘るコンシューマなどは一部を除き一段落したかなと思います。VTuberやその他バーチャル領域に関しては躍進を今後も要注目かなと思います。

・2020年のトレンド予測
2020年は「GBCのバランス」をとれるチームがうねりを起こす年になると思います。

直近で世界各地を回ってきた実感として、強いスタートアップが生まれる都市は政府(Government)から起業家へのスタンスが明確です。例えばカナダであれば、創業者の移民ビザが最短2週間で取得でき、また域内に支社さえあれば補助金がとれたりするようです。またルワンダでは、日本でいう霞ヶ関にウォークイン(Walk-in)で入っていって政治家と仲良くなり、毎週閣僚と議論してサービスづくりしている起業家に会いました。

調達環境という意味では2019年はSaaSが市場を席巻していましたが、来る年はtoBをメインにする会社がよりエンドカスタマー(Customer)に目を向けたサービスを構築・買収していくのではないかと思います。

例えば、上記で述べた大手企業による推進や政府の減税施策も相まって、やっと日本でもオンラインでお金の流れることを前提とした「コンシューマに普及しうる金融プロダクト」の産声がきけるのではないかとワクワクしています。これら踏まえ2020年は、サービスづくりにおいて「GBCのバランス」を絶妙に取る企業に注目したいなと思っています。

グッドパッチ 土屋尚史

・2019年の振り返り
個人的には自社の過去の組織崩壊の失敗から復活していくまでの過程を綴ったブログが大きな反響を呼び、この1年は組織に困った人たちから多く相談受けた年でした。失敗を公開することで、多くの人々に共感してもらいましたし、失敗をオープンにして社会のナレッジにする会社としての姿勢もGoodpatch自体のブランドに良い影響を与えたと思っています。

マーケット観点で言うとやはりDXかなと思います。1年前の経済産業省のDXレポートから一気に火が付いたと感じています。多くのスタートアップ銘柄がDXをキーワードにし始めた1年でした。

・2020年のトレンド予測
個人的な期待は行政のDX領域ですね。日本という国の大きな社会の負として行政のシステムのUXの悪さがあると思っています。この領域で国民に負を解決するような会社が出てきてくるのを期待しています。
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編集=Forbes JAPAN 編集部

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