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2019.12.11 12:30

「iPhone 11」の低価格路線は、アップル神話崩壊の序章か

Getty Images


停滞するiPhoneの売り上げ
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何年もの間、iPhoneの売上は飛躍的な伸びを見せてきた。しかし2015年に、アップルは転換点を迎えた。iPhoneの販売台数が頭打ちになったのだ。

2018年のiPhone販売実績は、3年前との比較で1400万台のマイナスとなった。しかしこれは、特に珍しい現象ではない。

アップルが初代iPhoneを発表した当時、スマートフォンは画期的な新技術だった。こうした新技術というものは、おおむね以下のようなサイクルをたどる。登場した当初は売上が爆発的に伸びるが、その後、市場の成熟に従って売上は横ばいになり、最後には必然的に下降線をたどる、という流れだ。
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初代iPhoneが世に出た12年前、携帯電話を所持している人はわずか1億2000万人だった。だが今では、スマートフォンのユーザー数は50億人を超えている(IDC調べ)。

iPhoneのライフサイクルを引き延ばしてきたアップル

以前から指摘してきたように、アップルはiPhoneの黄金期を延ばすことにかけては、実に見事な手腕を発揮してきた。同社は、販売の停滞を補うため、iPhoneの端末価格を引き上げることで売上を伸ばし続けたのだ。

ちょっと振り返ってみてほしい。2010年当時であれば、最新モデルの「iPhone 4」を599ドル(当時の日本での価格は一括払いで4万6080円~)で手に入れられた。これが2017年になると、「iPhone 8」が849ドル(日本でのアップル直販価格は8万5104円~)、「iPhone X」では1149ドル(同12万1824円~)に跳ね上がった。iPhone Xは、アップル製スマートフォンでは史上最も高価なモデルとなった。

端末価格の引き上げにより、アップルは成長を維持した。この戦略により、同社の売上は2011年以降、順調な伸びを見せている。しかし、アップルがiPhoneの値段を上げ続けざるを得なかったのには、もう1つ別の理由がある。

急上昇するiPhone 製造コスト

数年の例外はあるものの、iPhoneの製造コストは2007年以降、一貫して上昇を続けている。初代iPhoneの製造コストは、1台あたり200ドル強だった。しかし、「iPhone XS」(アップルが製造コストを公開している中で最新のモデル)では、製造コストは初代の約2倍に達している。

アップルは常に、端末価格に関して最高記録を更新してきた。しかし製造コストの推移を見ると、それには理由があったことがわかる。アップルは、上昇する一方の製造コストを埋め合わせする必要があった。そして、私が以前、読者のみなさんに警告したように、アップルが端末の値下げを迫られるのは時間の問題だった。事実、アップルはほどなくして戦略を転換した。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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