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 第2次世界大戦終結70周年である2015年は、日本の将来にとって節目の年である。日本が今年直面する重要な課題のひとつに、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉への合意到達がある。

 日本におけるTPPの議論のほとんどは、その経済的影響(プラスとマイナス)に焦点を当てているが、この問題は、将来の日米関係やアジア太平洋地域における日本の役割という、より広い観点から論じられる必要がある。経済的側面に限って議論していると、TPPの真の意義や長期的な重要性を過小評価することになりかねない。

 経済的側面が重要なのは、言うまでもない。これは、21世紀になってから最初の主要な多国間貿易協定であり、私が20年以上前にUSTR(米国通商代表部)にいたときのGATTウルグアイ・ラウンド貿易交渉の合意以来、最も重要なものである。TPPは、関税から非関税障壁までも含み、世界のGDP(国内総生産)の40%を占める国々の幅広い製品とサービスを対象としており、貿易障壁の除去、対象となる経済活動の面からみて、同様の合意の中でも「最高の水準」のものになる。

 ほとんどのエコノミストは、TPPにより、日本は最終的には大きな経済的な恩恵を受けると予測している。TPPによって、12の加盟国(オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、アメリカ、ベトナム)において、貿易や投資に対する障壁が引き下げられるだけでなく、農業を含む多くの国内構造改革も推進されることで、世界的な競争力強化が可能となり、日本経済の生産性向上にも役立つ。とりわけ、低出生率や労働人口の高齢化、人口減少に直面する日本にとっては、これは重要である。

 第二に、TPPを締結することによって、経済面のみならず、政治面、安全保障面で日米関係が強化される。過去20年にわたり、日本経済の停滞、冷戦の終結、他のアジア諸国の台頭(特に、中国、韓国、インド)によって、アメリカにとっての日本の魅力が相対的に低下してきた。TPP締結により、二国間関係のうちの経済面が再活性化されれば、両国関係が、政治面や安全保障面でも強化される。

 第三のメリットとしては、TPP締結によって、日本と他の10カ国との関係を強固なものとし、アジアで最大の資本主義経済としての日本のリーダーシップを示すことができる。逆に言えば、日本がTPPに参加しないことは、この重要な地域的ネットワークから孤立するリスクを負うことを意味する。これは、日本にとってマイナスである。特に、韓国、中国、インドが将来TPPに加盟する可能性があることを考えるとなおさらそうである。アメリカが、今後「アジア重視」を加速するなか、日本のTPPへの不参加は、日本が自らを「蚊帳の外」に置くことになり、いくつかの国からの「日本は、地域の他の国々と『共通の価値』や『歴史認識』を共有しない」との批判にさらされやすくなる。

 昨年11月に中間選挙が終わり、アメリカ議会では、民主党と共和党で協力できる分野を積極的に探している。貿易は、そのような協力の筆頭候補のひとつであり、すでに、両党のリーダーがオバマ政権にTPA(貿易促進権限)を付与すべく議論を進めている。この権限が得られれば、オバマ政権は、貿易交渉合意後に、議会で修正なしのイエスかノーだけの投票による承認を求めることができる。

 いま必要なのは、TPP交渉で合意に達することができるように、日本が強い政治的リーダーシップを発揮することである。そうすれば、日本経済の成長、対米関係強化、さらにアジア太平洋地域での「不可欠のリーダー」としての日本の役割に、長期にわたる大きなプラスの影響がもたらされる。この70周年は、世界第2の資本主義経済である日本が、そのようなリーダーシップを世界に対して示すには理想的なときである。

グレン・S・フクシマ 

 

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