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大気汚染にさらされることと精神的疾患のあいだには、年齢を問わず相関関係があると指摘する研究が増えている。

これまでの研究ではおもに、大気汚染が成人に与える影響に重点が置かれてきた。

しかし、オハイオ州にあるシンシナティ小児病院医療センター(Cincinnati Children’s Hospital Medical Center)とシンシナティ大学の研究者たちがこのほど、一連の研究を新たに実施。大気汚染と成人のあいだにある相関関係が、子どもの場合にも見られることが明らかになった。

ひとつめの研究では、子どもたちの精神的疾患が、短期的に大気汚染にさらされたあと、1日から2日後に悪化することが明らかになった。

これは、シンシナティ小児病院の救急外来が精神的疾患として受け入れた患者数の増加を5年にわたって分析したことでわかったものだ。研究では、救急外来を訪れた精神的疾患の患者1万3176人のうち、6800人あまりの子どもたちのデータを分析した。

「今回の研究で初めて、日常的な大気汚染レベルと、子どもたちにおける精神疾患的症状(不安や自殺念慮など)の悪化とのあいだに相関関係があることが示された」と述べるのは、研究論文の主執筆者であるコール・ブロカンプ(Cole Brokamp)博士だ。

シンシナティ小児病院の生物統計学・疫学部門で研究を行うブロカンプ博士は、「こうした知見を裏づけるためにはさらなる研究が必要だが、これらの研究は、精神的疾患に関係する症状を持つ子どもたちを対象にした、新たな予防戦略につながる可能性がある」と語る。

研究で最も悪い結果が出たのは貧しい地域に住む子どもたちで、不安と自殺念慮に関係したケースが特に多かった。

「貧困率の高い地域に住む子どもたちのほうが、大気汚染による悪影響を強く受けている。つまり、汚染物質と、居住地域に伴うストレス要因が、精神疾患の重症度と頻度に対して相乗効果を生んでいる可能性があるということだ」とブロカンプ博士は言う。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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