会社が必要事項を記入し、オンラインで移民庁へ申請をすると、次に雇用される本人が必要事項を記入する順番となる。内容は極めてシンプルだ。スウェーデン語でも英語でも申請ができるので言語の面で苦労することもない。この際に必要となる書類は以下の通りだ。
1. 雇用契約書
2. 戸籍謄本
3. 戸籍謄本をスウェーデン語訳もしくは英訳したもの
4. パスポート
ちなみに、いずれも原本を送付する必要はなく、スキャンしたものをPDFにしてアップロードするだけでよい。
労働許可の申請はこれで完了となる。あとは審査結果を待ち、結果が出たら、在日本スウェーデン大使館で書類を受け取る。スウェーデン入国の際はこの書類を提示することで、観光ビザでの入国でなく、労働許可での入国となり、90日の滞在制限が解かれることになる。
日本での身辺整理のタイミング
現在勤めている会社を辞めるタイミングや、マイホーム等の固定資産を売却するタイミングについてだが、これがなかなか難しい。新しい勤め先は一刻も早く働いてほしいと思っている以上、すべてを可能な限り短期間に済ませなければいけない。しかし、そこにはいくつかのリスクも伴う。以下、私が辿った手順を紹介する。
私の場合は、現地での面接を2015年9月に終えて、給与の交渉も完了し、家の売却や労働許可の手番を考慮して、労働開始を約半年後の翌3月とした。現地面接から12月の契約書サインまでに、引越し代や旅費、引越しをしてから当面のレンタカー代等、費用が発生する項目すべてを洗い出し、会社と私の分担割合を決めていき、それを契約の一部とした。こうしたやりとりをスムーズにこなすためにも欧州の文化を熟知しておく必要がある。
最終的にサインをしたのは、現地での面接から約3カ月が経過したときであった。契約書は、サインした段階で法的拘束力が発生し、これで先方の会社が私を雇うことを保証したことになるので、同時に労働許可の申請を開始。犯罪歴でもない限り労働許可の申請で落ちることはないと踏み、当時勤めていた会社にはこのタイミングで退職を申し出た。
同時に、住んでいたマンションの売却を開始。駅近の無難な間取りだったため、2週間で買い手がついた。結果的に、この後、無事に労働許可が降りたので事なきを得たわけだが、実はここにはリスクがあり。万が一、戦争が起きたり、雇用先の会社が倒産したりすると、一気に住所不定、無職となる。
リスクを避けたいのであれば、労働許可が降りてから家の売却や勤め先への退職願を出すことになるが、そのぶん移住するタイミングも後ろ倒しになっていく。当然のことだが、新しい雇用先は一刻も早く働いてほしいと思っているので、ここでは上手にリスクを取ることで、働く会社に良い印象を与えるのも一手だ。
家は戸建かマンションか?
移住後の住まいだが、スウェーデンでは諸々の事情により借家があまり豊富に存在していない。あってもかなり割高となるが、背に腹は代えられない。スウェーデンに限らず、外国となると、地域柄や相場は現地在住のネイティブであっても判断が難しいので、将来の上司や同僚に相談に乗ってもらうことをお勧めする。
私はある不動産賃貸契約サービスを利用して、90平米の戸建てを当時のレートで20万円ほどで借りていた。しかし割高だったので、移住後1年も経たないうちに現在の家を購入した。
しかし、その頃のご近所さんとは今でも深い付き合いがある。移住後の近所付き合いは最重要と位置付けても過言ではないので、交流しやすい戸建タイプはおすすめでもある。
移住当初に住んでいた家。家賃がとても高く、同僚から早く家を買うようにアドバイスを受けた。