移民が移住後すぐに不動産を購入するのは容易なことではない。私はどの銀行からも軒並み融資を断られたが、会社のCFOに紹介してもらった銀行で即融資可能となった。1つ1つの経験や苦労が後に財産となる。
こちらは現在の家
移住をしてからの行政手続き
移住をするまでは、英語なり日本語で諸々の手続きができたので、あまりストレスを感じることはなかったが、いざスウェーデンに引っ越してきてからは、非常に苦労をした。
まずは労働許可の書類を持って移民庁へ行き、居住許可証の申請をし、写真と指紋を取る。簡単な話だが、いくらスウェーデンとは言え、すべての場所に英語が併記されている訳でもないし、常に親切に案内をしてくれる人がいるとも限らない。こうして小さなストレスが積み重なっていく。
欧州の会社には総務課が存在しないため、こうした手続きは自分で行わなければならない。外国人だからサポートがあって当然という考え方は通用しない。だが、頑張っていれば誰かが助けてくれるものだ。どうしてもうまくいかない場合は、就労する会社の人間に相談するとよい。
居住許可証が自宅に郵送で届くのに数週間かかり、今度は許可証を持って税務署(Skatteverket)へ行き、パーソナルナンバーを申請する。スウェーデンで生活するにあたり、このパーソナルナンバーがないと何もできない。自身の語学学校の手続きさえ不可能だ。その後、銀行口座開設や運転免許の切り替え、子供の学校の手続きなど数々のチャレンジが待ち受けている。
しかし、これらを1つ1つこなすことでスウェーデンという国の社会の成立ちも理解できた。今では、総務課は便利かもしれないが、社会を学ぶ機会を奪ってしまうかもしれないとさえ思う。
常に「ギブアンドテイク」を頭の中に
全4回にわたり紹介してきた海外移住HOW TOだが、私が書いた内容がすべてではない。これはほんの1例であるし、国によってまた事情は大きく異なる。だがこのコラムが1人でも多くの方の参考となり、海外移住がその人の人生の1つの選択肢となれば幸いだ。
「家を売ってまで家族と外国に移住するなんてすごいですね」とよく言われるのだが、何も大した話ではない。計画を立ててリスクを勘案し、それらをどう処理していくのかを家族と話し、雇用主と交渉をしていくだけであって、そこに特別な能力は必要としない。
大切なことは、どこに住めば自分や家族の幸せが得られるのか、これを強い信念として頭に描いておくことだ。そして、移住先の社会に対して何をもって貢献ができるのか。自分と移住先の社会とでギブアンドテイクの関係が成立しているかをいつも頭に入れておかなければならない。こうした全体の構造を把握しておけば、どんな判断を迫られようとブレることなどないのだ。
連載:スウェーデン移住エンジニアのライフ&ワーク
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