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ファーウェイと米トランプ政権の対立の背景には、ファーウェイが中国市場で揺るぎない地位を確立していることがあげられる。ファーウェイは中国市場で育ち、今や世界的な業界リーダーとなった。

今後、オープンソース部分を除くアンドロイドとグーグルのサービスが利用できなくなるにも関わらず、中国の消費者がファーウェイ離れを起こす気配は全く見えない。これは、アップルにとって喜ばしくない事態だ。

米政府との対立が始まった当時、ファーウェイの中国市場におけるシェアは約25%程度だったが、今では40%近くまで高まっており、同社は収益の約50%を母国で稼いでいる。OPPOやVIVO、シャオミなどの中国メーカーが猛追しているものの、ファーウェイがさらにシェアを拡大する可能性は高い。

一方、アップルの中国でのシェアは10%以下まで減少し、改善する兆しを見せていない。

アップルはかつての革新的なイメージは薄れたものの、今でも中国人が憧れるブランドであり、先日のiPhone 11のリリースを中国メディアは大々的に報じた。現地のテック系メディア「Abacus」によると、アップルが発表した新デバイスは中国のソーシャルメディア上の話題を独占したという。

ウェイボー(微博)では、ホットサーチ上位20のうち8件をアップルの新製品が占め、Q&Aサイト「Zhihu(知乎)」では、人気トピックス上位5のうち4件がアップルに関する質問だったという。

ネット上のディスカッションの多くは、“アップル対ファーウェイ”にテーマが変わってきているが、それは自然な成り行きだ。アップル自身も最新チップを説明する際、ファーウェイのデバイスと性能比較をしてみせたが、これはこれまで同社に見られなかった姿勢だ。

アップルは、中国市場でシェアを伸ばすにはファーウェイとの対決が不可避であることを理解している。最新端末を比較すると、デザイン面での両社の差はほぼなくなり、カメラなどのハードウェア性能ではむしろファーウェイの方が勝っている。

あるウェイボーユーザーは、「アップルが自社製品をファーウェイ製品と比較したことは、ファーウェイの力が増した証拠だ」とコメントしている。iPhone 11のデザインに関しては、「カメラが蜘蛛の目に似ている」というコメントがウェブ上で拡散している。

中国市場を圧倒するファーウェイ

中国市場でシェアを拡大させたいのは、アップルもファーウェイも同じだ。ファーウェイは米政府のブラックリストに載り、海外市場で失ったシェアを国内市場で挽回する必要がある。

一方でAbacusによると、ウェイボー上で行われた投票で63万6000人の回答者のうち、70%以上がiPhone 11を「購入しない」と答え、「購入する」と答えたのはわずか12.5%だったという。この結果はファーウェイにとって朗報だが、アップルにとっては大きな問題だ。

ファーウェイは、先日新型スマートフォン「Mate 30」をローンチした。Mate 30は、米国の技術を使わない初めての純国産端末だ。目玉は独自開発した新型チップセットだが、グーグルのソフトウェアやサービスはデフォルトでは利用できない。

しかし、関係筋によると、ファーウェイ社内の士気は高まっているという。同社では、米国の技術が使えないことは短期的に痛みを伴うかもしれないが、中長期的には大きな勝利につながるという考えが大勢を占めているようだ。

海外市場で一時的に後退をしても、母国で新モデルがよく売れ、ダメージを最小限に食い止めると見られている。

ファーウェイのCEO、Ren Zhengfei(任正非)は、「アップルは良き手本であり、インスピレーションを受けている。同社は業界の革新を牽引している」と述べた。Renは、貿易戦争の一環でアップルを罰することには反対している。しかし、アップルを本当に罰しているのは、中国市場で圧倒的な優位性を築いているファーウェイ自身なのだ。

編集=上田裕資

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