中国のバイドゥが2位に急浮上する中で、アマゾンは市場トップの地位を守り、グーグルは3位に沈んだ。世界で最も人気のスマートスピーカーは、アマゾンの「エコー」で今年第2四半期の伸びは前年比で、61.1% だった。グーグルは上位5メーカーの中で唯一、過去1年でシェアを減らしていた。
そんな中、バイドゥは異例ともいえる成長を遂げた。バイドゥは2018年6月に高額モデルの「Raven H」スマートスピーカーの販売中止を宣言し、低価格モデルの「Xiaodu(小度)」を投入した。この戦略は功を奏し、2位のバイドゥの年間成長率は3700%という驚異的な数値を記録した。
ただし、バイドゥの数値の伸びは、もう少し広い角度から検証する必要がある。2018年時点のバイドゥの世界のスマートスピーカー市場でのシェアは、わずか0.7%だった。その後、同社は巨大な中国市場で主要なポジションを占め、2019年第2四半期に1260万台を出荷した。比較としてあげると、同期間に米国で出荷されたスマートスピーカーの台数は1210万台だった。出荷台数でバイドゥは近い将来、アマゾンを上回るだろう。
もう1つ指摘しておきたいのは、グーグルのシェア低下の理由についてだ。グーグルは5月中旬に、Made by GoogleのハードウェアをNestブランドにまとめていく計画を発表し、既にスマートディスプレイの「Google Home Hub」は「Google Nest Hub」に名称変更されている。一方で、スマートスピーカーの「Home」や「Mini」の名称は以前のままとなっている。
ここで注視したいのは、グーグルがスマートスピーカーよりもスマートディスプレイに注力していることだ。筆者はこれらの2カテゴリのデバイスを併用しており、グーグルの意志に気づいている。スマートディスプレイは、スマートスピーカーよりも多くのメリットを提供できる。スマートディスプレイは動画によって、より多くの情報を届けられるのだ。
スマートディスプレイはスマートスピーカーよりも、実用的で娯楽要素も多く、将来的にスマートスピーカーに置き換わる存在になるというのが筆者の見立てだ。カナリスの今回のレポートは興味深いものではあるが、今後のトレンドを見極めるためには、スピーカーとディスプレイの双方の動向を注視する必要がある。