アリババは昨年8月にスターバックスと提携し、傘下のフードデリバリー「ウーラマ(餓了麼、Ele.me)」を活用したコーヒーの宅配サービスを開始していた。今回のセールスフォースとの提携は、この流れを進めたものといえる。
中国での市場拡大にあたり、現地のテック企業大手と手を組むセールスフォースの決断は、正しいものといえる。多くの米国企業がかつて中国進出を図ったが、イーベイやグーグルは失敗していた。米中の貿易摩擦やテクノロジー戦争の高まりの中で、米国企業の中国進出は、以前よりも厳しい状況になっている。
一方で、アリババを含む中国の大手テック企業は米国で成果を収められないでいる。アリババのジャック・マーは同社の売上の半分を、国外にする目標を掲げていた。アリババは米国にセールス拠点を設けていないものの、B2BサイトのOpenSkyへの出資を通じて、アメリカのEコマースのトレンドを学ぼうとしている。
アリババは中国から製品の仕入れ行う米国企業向けのB2Bプラットフォームも、傘下に持っている。
今回のセールスフォースとの提携で、アリババは中国や香港、台湾においてセールスフォースのツールの独占販売窓口になる。セールスフォースはアリババのクラウドやデータプラットフォームを活用し、中華圏での売上を拡大させる戦略だ。
米中の緊張の高まりのなかで、他の大手企業の間においても今後、類似した取り組みが増えることが予想される。