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I write about innovation trends in global hotspots.

Photo by S3studio/Getty Images

米国のスターバックスと中国のアリババは今年8月、中国で事業提携を行ない、アリババ傘下のフードデリバリー「ウーラマ(餓了麼、Ele.me)」を活用し、コーヒーの宅配を開始すると宣言した。両社の提携は中国で高まる新たな小売業のかたち「ニューリテール」の台頭に備えるものだ。

ニューリテールとは小売分野にAI(人工知能)やAR(拡張現実)、ロボットやQRコード、モバイル決済などの新たなテクノロジーを投入し、買い物及びデリバリーを統合的な体験として提供していく試みのことだ。

この分野ではアリババが生鮮食品スーパー「Hema」を各地で展開しており、競合のJD.comも同じ業態の食品スーパー「7Fresh」を拡大しようとしている。JD.comは中国の高級家具店のQMとも提携し、ビッグデータを活用した家具店を先日、北京に開設した。

買い物を便利にし、エンタテインメント要素を加えたものにするニューリテールの試みは、北京や上海のような大都市を中心に拡大中だ。この分野の消費を今後牽引していくのが、4億1500万人にのぼる中国のミレニアル世代たちの購買力だ。

スターバックスがアリババに歩み寄る姿勢を見せる裏には、中国で台頭した競合のコーヒーのスタートアップ企業「Luckin Coffee」との戦いに備える狙いもある。2017年に北京で始動したLuckin Coffeeは今年7月の資金調達で2億ドルを調達し、企業価値は10億ドルを突破。中国の13都市以上で800店以上を展開中だ。

これに対し、スターバックスはアリババのTmallでアリペイ決済を用いて商品を販売し、ウーラマのデリバリーでコーヒーの宅配を行うほか、食品スーパーHemaの店内にも店を構え、新たな顧客を開拓しようとしている。

スターバックスは昨年、中国で585店舗を新たに出店したが、今年はさらに600店を開設しようとしている。同社は現在、中国で3300店舗を運営中だが、2022年までに6000店舗に拡大する戦略を明かしている。

伝統的にお茶が好まれてきた中国で、コーヒーはまだまだ成長が見込める市場だ。スターバックスはモバイルとニューリテールを軸に、中国での需要をさらに掘り起こそうと考えている。

編集=上田裕資

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