ビジネス

2019.04.12 10:00

世界のトップ経営者、マーク・ベニオフが来日するたびに必ず京都に向かう理由

セールスフォース・ドットコム会長兼共同CEOのマーク・ベニオフ

セールスフォース・ドットコム会長兼共同CEOのマーク・ベニオフ

1999年創業のクラウド型顧客関係管理(CRM)大手「セールスフォース・ドットコム」は、今年で20周年を迎える。それを記念して本国だけでなく日本でも祝うため、同社の会長兼共同CEOのマーク・ベニオフが来日、20周年スペシャルイベントでスピーチした。

ベニオフはFortune誌による「世界の最も偉大なリーダー25人」やハーバードビジネスレビュー誌による「世界のCEOベスト15」に選ばれている。

イベントでは、世界で8番目、アジアでは初めてとなる「セールスフォースタワー」を東京に開設することを発表。2014年に竣工された22階建ての「日本生命丸の内ガーデンタワー」の全フロアを借り上げ、「Salesforce Tower Tokyo」として、2021年下半期より稼働する予定だ。

また、セールスフォース・ドットコム日本法人の小出伸一社長は人員計画についても言及。現在日本法人では1500人の社員が勤務しているが、2024年までの5年間で最大2000人を増員、3500人規模にすると語った。

イベントではIT・科学技術担当大臣の平井卓也がスペシャルゲストとして参加し、「我々はセールスフォースを外国の企業だとはもう思っていません。日本でともに仕事をする仲間だと思っています」と述べた。

デジタルトランスフォーメーション、第4次産業革命、ソサエティ5.0と未来のキーワードが飛び交う中、ベニオフは大切にしてきた彼の思想を語った。その要旨を紹介する。


左から平井卓也、マーク・ベニオフ、小出伸一

桜はまるで人生を表している

こんにちは!桜が咲き乱れる京都から戻ってきました。

私は日本を訪問する時、必ず京都から訪れます。今週行くことをオススメしますよ。桜が綺麗で、雨と花びらが流れる様子が見られました。私たちはちょうど桜の満開を見ることができ、皆さんも知っての通り、本当に美しいものでした。

桜は満開のピークを迎えると、その後すぐに散ってしまいます。これはまるで人生のようです。私たちはまるで桜のように、人生のピーク時にお互いに愛、喜び、そして幸福を表現するということに気付かされます。

龍安寺で考える「初心」の大切さ

京都にある龍安寺でも同じようなことを考えていました。石庭では15の石があります。しかし、座って見ると石が重なって14しか見ることができません。そこから学べることは、心の目で全てのことが見えるということです。そのためには心と一体にならないといけません。龍安寺を訪れることで、基本に立ち返り、「初心」に戻らされます。

2019年はまさにセールスフォースにとって「初心」の年です。ある偉大な先生が言ったように、初心者はたくさんの可能性がありますが、プロになるとその可能性は狭まります。私たちは初心に返らなければいけません。これを思い出させてくれるから、私は京都に行くことが好きなのです。
次ページ > 月日が経っても「初心」から始まる

文=井土亜梨沙 写真=セールスフォース・ドットコム

タグ:

連載

FORCE FOR SOCIAL CHANGE

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事