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Romario Ien/ bigstock.com

「オーガニック食品や地元の農産物を買うことは、さほど重要ではない。それらのスケールはたかが知れており、問題の根本解決にはならない」と主張するのはスタンフォード大学のデヴィッド・ロベル教授だ。

「向こう30年の課題は、今ある土地と労働力をいかに活用し、最大の利益を生み出すかにある」と、ロベルは言う。彼はデータを駆使し、気候変動が農作物の生産に与える影響について調査している。36歳のロベルは「学生たちは、僕が現在の食糧生産システムを支持していることを知るとがっかりする」と言う。

しかし、彼は学生たちにこう説明する。

「ファーマーズ・マーケットに行き、オーガニック食品を購入したからと言って、20年後にサハラ砂漠の住人に食料を提供できるかといえば、全く助けにならないのが現実なんだ」

ニューヨーク郊外のポート・ワシントンで育ったロベルは「僕ほど農業と縁の無さそうな人も珍しいよね」と笑う。子供時代に訪れた、一番広い草の生えた場所といえば、家族と一緒に行った野球場だと言う。しかし、2001年にメキシコを訪れた際、食料生産におけるデータ解析の重要さに目覚めた。

「この仕事を始めたときは、あまり一般的では無かったけれど、今はデータ・サイエンスと呼ばれる分野に成長した」

ロベルは農業の常識を覆した。データ収集が可能になる以前は、食糧生産関連の研究といえば生産現場の研究や調査が主だった。しかしロベルは、小麦や米、トウモロコシといった主要作物の効率性を高めるため、研究者と農業従事者がデータ・サイエンティストと協力し合う新しい時代を切り拓いた。

ロベルは気候変動についての研究も進めた。その結果、技術の進歩よりも自然環境に大きく左右されるような地域では、気候変動が主要作物の生産に大きな影響を与えることを知る。その頃からロベルはアメリカの農業システムを高く評価するようになる。学生たちからは強い反発を受けたが、実際、アメリカの農業システムはかなり効率的に作物を生産する仕組みであることは確かだ。

「生産性の高い農業をしない限り、食に関する目標は達成できないと思う」とロベルは言う。「僕の関心は、人々が日常的に摂取する作物の生産効率を高めることだ」

ロベルの先駆的な仕事は評価され、2013年にはマッカーサー・フェロー賞を受賞した。「一緒に働いている人たちがいなければ、この業績は成し遂げられなかった」

ロベルは現在、スタンフォード大学のEnvironmental Earth System Science(地球環境システム科学)研究科の准教授およびthe Center on Food Security and the Environment(食糧安全保障と環境センター)の副所長を兼任。カリフォルニア州のパロアルトで妻と子供二人と暮らしている。

「僕らが今後、何をどのように食べるのか考えていく際、気候変動を無視することはできない。干ばつや熱波は引き続き、主要作物の生産に影響を与え続けていくだろう」と彼は予測する。そして自らの役目は「農業従事者らが自らの家族を養っていけるだけの作物を育てていけるよう手助けをすることだ」と感じている。

ロベルは現在、農業従事者のための様々なオプションを模索中だ。その一つは、農場に太陽パネルを設置し、太陽光エネルギーを農作物の生産に生かすこと。グーグルと協力し、データ解析技術を農業分野に活かす試みも始めている。

私たちは20年後、何を食べているのだろうか?

「最大の変化はタンパク質、特に動物性タンパク質の摂取の分野に訪れるだろう」とロベルは言う。地球規模で見ると、動物性タンパク質の摂取量は増えるが、先進国での肉の消費量は減少する。

「僕らは肉の代わりに植物性タンパク質を多く摂取するようになる。それは健康のためでもあるし、コストを考えた結果でもある」とロベルは予測している。

編集=上田裕資

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