落雷から身を守るための「雷に関する基本的な知識」

Nancy Newell/Getty Images

6月9日、米フロリダ州ではバイクに乗っていた人が落雷で死亡する事故が起こった。夏のアウトドアシーズンが到来したが、それは同時に雷のシーズンの到来でもある。
 
筆者は大気科学者として25年間を過ごしてきたが、雷が発生した際にどうしたらいいのか分からない人や、その危険性を軽視している人をたびたび目にしてきた。この記事では、雷が発生した際の適切な対処について述べてみる。
 
屋外で雷に遭遇した場合に覚えておきたいのは、雷は木や建物、アンテナ、鉄柱などの背丈のあるものに落ちるということだ。大気は良質な絶縁体であるため、電気はより抵抗の少ない場所を探す。雷の発生のプロセスを簡単に説明すると次のようになる。
 
雷は雲の中の電荷と、地面の電荷の放電による中和といえる。雷雲が接近すると、雲の下部に溜まったマイナス電荷に誘起され、地面にプラス電荷が溜まる。そして、最初は雷雲から地面に向かって「先駆放電:ステップリーダ」が始まる。
 
その後、地面から雷雲の下部に向かって放電しやすい経路を求めて小規模な放電が始まる。これは「お迎え放電:ストリーマ」と呼ばれる。そして上からの放電と下からの放電が手をつなぐことで落雷が発生する。
 
ここで大切なのは、自らがストリーマの源になることや、その近くに居ることを避けることだ。雷が発生した際に屋外にいた場合、米疾病対策センターは以下のような行動を推奨している。
 
「まずは、地面に接する体の面積をできるだけ小さくして姿勢を低くする。落雷が起こった場合、30メートル以上離れた場所でも命に危険を与えるほどの電流が地表を流れる。稲妻はコンクリート製の床や、壁の中にある金属を通るため、コンクリートの床や壁には近づかないようにする」
 
驚くかもしれないが、雷で怪我をするケースの約3分の1が屋内で起きている。雷が発生した時に屋内にいる場合は次のような対策が必要だ。
 
まず、金属製のパイプは電気を引き付けるため、室内の配管からは離れる。次に、テレビやステレオなどの家電製製品から体の距離を置くこと。さらに、コンクリートの中には金属製の棒や骨組みがあるため、コンクリート製の壁や床に触れないようにすること。
 
また、被害を報告する際に気をつけたいのは、コードでつながった屋内の電話は使用しないことだ。ただし、携帯電話やコードレスフォンは使用しても大丈夫だ。

編集=上田裕資

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