米バンヤンヒル・パブリッシングのシニア・リサーチアナリスト、テッド・バウマンもまた、過去の米政権が中国の台頭に対して果たしてきた役割について、前術の報告書と同様の考えを示している。ただし、米政権の行動は中国に対する親切心に基づいたものではなかったという。
「過去の米政権は、現在の中国経済に対して重要な役割を果たしてきた。中でもクリントン政権は、中国の世界貿易機関(WTO)への加盟を支援した」
「だが、彼らはそれを、米国の政治経済の本質を幅広く変化させる方策の一環として行った。それが結果として、中国に対する貿易赤字の拡大につながったのだ」
米国の労働者は、「中国製でより安価な」電子機器や家電製品、衣料品、家具などを入手できるようになった。それは、1980~90年代の実質賃金の伸び悩みの影響を緩和するのに役立った。
そして同時に、「米国の労働者は、最終的に支払いに充てることになる賃金を得る前に、借金をして中国製品を購入してきた。それが、中国との貿易赤字を増やしてきた主な原因だ」
つまり、過去20年において中国の台頭を許してきた米国の政策は、現在となっては誤りだったようにも見えるかもしれないが、当時は機会の創出につながると考えられていたということだ。
米国にとっての機会を生み出すものと考えられている現在の対中政策は、20年後にはどのように受け止められているだろうか。