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5月28日は、月経衛生デー。2013年、衛生や人権問題に取り組むドイツのNPO団体「WASH United」によって設立された。

月経衛生デーが設立された背景には、2つの目的がある。まずは、月経に対する沈黙を破って社会の意識を変えること。そして、
世界、国家、地域それぞれのレベルで、意思決定者に月経に関する制度の政治的優先順位を高めることを促すことだ。

月経中の女性を取り巻く環境

月経は、まだまだタブー視されることも多いテーマ。女性にとっては切り離せない問題であるにも関わらず、「女性の問題」として扱われることも多く、「社会の問題」とまでは至っていないだろう。

世界中でもとりわけ、南アジアでの問題は深刻だ。ネパールでは、月経中の女性を「不浄な存在」とみなす地域も存在している。2017年7月には、小屋に隔離されていた月経中の少女が、毒蛇に噛まれて死亡するという痛ましい出来事も起こっている。

さらに、国際NGOウォーターエイドとユニセフが発表した報告書によると、南アジアでは3分の1以上の少女が月経を迎えると学校を休んでいるという。月経に対する価値観から、教育にも格差が生まれているのが現状だ。

月経は「タブー」ではない

女性にとって、月経は毎月やってくるもの。オープンに話したり、ポジティブに考えたりすることができれば、と願う人も多いだろう。近年、その動きはビジネスの場でも広がりつつある。実際、テクノロジーの力で女性の生き方や働き方をサポートする「フェムテック(female × tehcnology)」産業の市場は伸び続けている。

その一例が生理周期を考慮した女性アスリート向けアプリの開発だ。多くの女性アスリートが活躍しているにも関わらず、彼女たちの「月経」についてはオープンに議論されてこなかった。そこに着目したのがスタートアップ「WILD Technologies AI」のCEOを務める、へレーネ・ギヨームさんだ。

同社は、女性アスリートに特化したAIコーチングアプリを開発。アプリでは、生理日などの情報やトレーニングのデータから、AIが個人に適したアドバイスをしてくれるという。

他にも、フェムテック市場では様々なプロダクトが開発されており、月経に対する価値観をアップデートしようという動きが進んでいる。しかし、私たちの日常から、男女の垣根を超えて「月経」について考え直さないことには、本質的な問題の解決にはつながらない。「月経衛生デー」という日をきっかけにして、社会全体で考え直していくべきテーマなのではないか。

文=長澤史佳

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