ビジネス

2019.05.20 15:00

「仕事」をつくる | 越境イノベーションモデル5選


3. ふるさと兼業/東海地方を中心に16地域/2018年9月〜



兼業マッチングで都市部人材を地域に

地方での兼業を希望する働き手と、人材を必要とする地域企業をつなぐマッチングサイト。多様な働き方の推進や地域の課題解決を目指して、岐阜県のNPO法人G-netが立ち上げた。市民活動のPR戦略立案や、高校生向けのキャリア支援、1次産業の魅力を発信するライターなど、地域・テーマに応じた多様なプロジェクトを掲載。マッチングにあたっては、各地域に配置した専属コーディネイターを通じて、企業と働き手を細やかにフォローする。プロボノや兼業、パラレルキャリアなど、新たな働き方が注目されるなか、都市部の人材が、本業で培った経験や技術を生かして、興味をもつ地域や共感する事業にプロジェクト単位で貢献することを実現する。

4. Food Hub Project/徳島県名西郡神山町/2016年4月〜



食と農をつなぐ「地産地消」循環モデル

「地産地食」をコンセプトとして、徳島県名西郡神山町の農業と食文化を次の世代につなぐことを目指したプロジェクト。農業、飲食、加工、食育に関する取り組みを相互に連携させて、域内での経済を循環させる仕組みだ。神山町の産官学と地域住民が一体となって推進している。 

具体的には、新規就農者の受け入れや耕作放棄地を使って農業を営み、米や麦、野菜などの農作物を生産。これら食材を活用した料理を町民に提供する食堂「かま屋」とパン屋「かまパン&ストア」を運営する。店舗に併設した工場では、加工品も製造販売。さらに、教育機関と連携して町内の子どもが農業体験できる活動を実施し、文化を伝えていく。

農家の高齢化や後継者不足が深刻化している地域は多い。地産地食の循環モデルは、食と農の未来を担う働き手を創出し、地域の持続性を高める可能性を秘めている。

5. 信州100年企業創出プログラム/長野県/2018年10月〜



企業が舞台の実践型リカレント教育

長野県の次代を担う企業の創出を目標として、県内企業を実践の舞台としたリカレント教育を提供する新たなプログラム。高度な専門性をもつ首都圏の人材を信州大学のリサーチ・フェロー(客員研究員)として受け入れ、マッチングした県内企業に加わって課題解決や成長戦略の策定に挑戦してもらう。 

期間は6カ月間。参加者には月額30万円を支給する。週のうち3〜4日は県内企業で働き、週1〜2日は信州大学で課題解決や人材育成のプログラムを学ぶ。 

地方での新しいキャリア形成に興味をもちつつも、縁がないなど、いきなり働くことはハードルが高いと感じている首都圏の人材は少なくない。大学がハブの役割を果たすこのプログラムは、客員研究員を務めながら、現地企業との関係を築いたり、地域に関する知見や新たな学びを得たりすることができる絶好の機会となる。

第一回

文=フォーブス ジャパン編集部+三井三奈子

この記事は 「Forbes JAPAN 地方から生まれる「アウトサイダー経済」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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