そんな資金調達の裏側が存分に語られたのが、2月16日に東京ミッドタウン日比谷で開催された「第3回TORYUMON TOKYO」だ。これは福岡でスタートアップを支援するベンチャーキャピタルF Venturesの主催で、起業を考えている学生を応援することを目的としている。
パネルディスカッションに登壇したのは、政治家と市民をつなぐコミュニティサービスを運営するPoliPoli代表取締役CEOの伊藤和真と、暇な時間に好きな仕事でお金を稼げるWebサービスを運営するタイミー代表取締役CEOの小川嶺。そして旅行先の駅やお店をコインロッカーがわりに使える「ecbo cloak(エクボクローク)」を運営するecbo(エクボ)共同創業者兼CCO(チーフクリエイティブオフィサー)のワラガイケン。
司会は、ハードテック領域のスタートアップコミュニティを運営するプロトスター代表取締役COOの栗島祐介が務める。起業家と投資家が合意を結び、投資がなされるまでにどのような駆け引きがなされるのか。そして、投資家は起業家のどのような点を見ているのか?
調達のきっかけは、ヒッチハイク
エクボ共同創業者兼CCOのワラガイケン
まず、資金調達の経緯について語り始めたのは、ワラガイ。資金調達の速度もさることながら、エクボの調達で注目すべきは出資者の面々だ。本田圭佑氏やメルカリだけでなく、そして東日本旅客鉄道(JR東日本)など大企業からも資金を調達している。
また、JR東日本・日本郵便とは業務提携を行っている。大企業の心をどのように掴んでいるのか? ワラガイによれば、それは創業者で代表取締役社長の工藤慎一氏によるところが大きいのだという。
「単に融資してくれそうなだけでなく、初めから事業面でのシナジーもありそうな会社を探してどんどんアタックしました。『荷物を預かってほしい』と思うのは旅行者の方なので、主要な駅を抱えているJRさんとは早めに提携したいと思っていましたね。
提携にこぎつけたのは、代表の工藤の力が大きい。彼は『モノの所有を、自由に。』するというミッションの先に、エクボがどんな未来をつくりたいかを描いている。彼が言語化したビジョンを聞いて、エクボがつくろうとしている世界に共感してくれた方は多いのではないでしょうか」
PoliPoli代表取締役CEOの伊藤和真
一方で、「政治」という日本のベンチャーがなかなか扱わないテーマを扱うPoliPoliは、なかなかサービスの意義を理解してもらえず、投資先を見つけられない日々が続いていたという。伊藤が調達のチャンスを掴んだきっかけは、まさに偶然の出会いだった。