鳴り物入りで日本上陸したファッションECサイト〈ファーフェッチ(Farfetch)〉。既存のECとは何が違うのだろう。「大手アパレルがECをやるのは簡単ですが、独立系のセレクトショップや若手デザイナーのブランドが自力でECを展開するのは難しいですよね。そこにビジネスチャンスがあると思ったんです。そこで、世界中の個性的なショップやブランドのものを世界中の消費者が買えるシステムをつくろうと考えたわけです」
ジョゼ・ネヴェスは2008年、ヨーロッパの25軒の有力セレクトショップと契約しファーフェッチをローンチ。大手ECとは一線を画す個性的な商品構成が話題になり人気が沸騰すると、その後も世界中に契約店舗&ブランド、市場を拡大し急成長を遂げている。そして14年夏、日本上陸を果たしたのだ。「最初は大変でした。有名なセレクトショップとの契約はすべてがゼロからの説得でしたから。ただ、それまでのファッションビジネスで培った彼らとのコネクションが非常に役に立ちました。あと、実は私は子どものころからコンピューターおたくで、それまでもファッションビジネスのためのさまざまなソフトウェアをずっと開発していました。それで、小さいお店でもちゃんとリアルタイムで在庫管理ができるファーフェッチ独自のシステムをつくることができたのも大きな強みでした。その結果、契約店舗やブランド、さらにユーザーにも高い評価をいただくことができたのです」
なるほど、成功の秘密はこの両面性だったのだ。彼はファッショニスタであり、かつギークでもあるがゆえに、比類ないユニークネスをもつサービスを提供できたのだろう。「インターネットビジネスには2つ目の波が起きています。1つ目は世界中に同じものを提供するスタンダライゼーションでした。しかしいまは、世界各地の多様性を世界中のユーザーに届けることが注目されています。私自身20代で靴のブランドを立ち上げた経験がありますから、若手デザイナーを応援したいし、ポルトガル出身ですから、いわゆるファッションキャピタルでない地域のショップやユーザーの気持ちもよくわかります。世界中のデザイナーやショップの個性を、世界中のユニークなユーザーが自由に享受することができることで、ファッションビジネスはまた新しい進化を遂げることができると信じています」
www.farfetch.com/jp