提出書類によると、ハース家の11人と3人の匿名の親族らは、上場にあたり1960万株を売却するとされていた。一株17ドルで計算した場合、彼らの株式売約益は税引前で3億3340万ドル(約367億円)に達することになる。リーバイ・ストラウスは上場により、6億2300万ドル(約690億円)を調達したが、その大半がハース家の取り分となった。
リーバイ・ストラウスの筆頭株主で、2019年のフォーブスのビリオネアリストに初登場したMimi Haasは、16.1%のリーバイ株を保有しており、資産額は10億1000万ドルと算定される。Mimiは自身の持ち株の約1割を売却した結果、約1億ドルの上場益を得ることになった。
Mimiに次いで持ち株が多いのはMargaret Haasで、彼女は12.5%に相当する4340万株を保有し、その価値は7億3900万ドルと試算される。
上場後もハース家のメンバーらは、リーバイ・ストラウスの発行株式の75.6%を保有している。同社株は議決権の異なる2種類の株式で構成されており、ハース家は99%の議決権を保有している。
リーバイ・ストラウスは3月20日、一株17ドルで上場することを発表し、その時点での時価総額は約64億ドルとされていた。上場前の株価レンジは、1株14ドルから16ドルだった。同社は2018年に56億ドル(約6100億円)近い売上をあげ、前年比14%増を記録していた。
リーバイスの起源は1853年に、ユダヤ系ドイツ移民のリーバイ・ストラウスがサンフランシスコのベイエリアに雑貨店を設立した頃にさかのぼる。同社はゴールドラッシュの最中に、炭鉱労働者向けの衣類を販売し、1873年頃には、デニムのブルージーンズを主力製品とするようになった。
リーバイスは1971年にも上場したが、ハース家がその後、1985年に株式を買い戻し、非公開となっていた。
今年はテック業界ではリフトやウーバー、スラックらが上場を予定しているが、リーバイスは適切なタイミングで上場を果たしたといえそうだ。1996年のフォーブスの記事によると、1985年時点のハース家の持ち株の評価額は約5億1000万ドルだった。
1985年にハース家は1株50ドルで株を買い戻し、Robert Haasの下で業績を回復させた。現在のハース家の持ち株の評価額は、1985年当時の9倍以上に膨らんだ。