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中国の深セン本拠のアクションカメラメーカー「Insta360」が3月19日、3000万ドル(約33億円)のシリーズC資金調達の実施をアナウンスした。出資元はEverest Venture CapitalやMG Holdings、Huajin Capitalなどの中国本拠のベンチャーキャピタルだ。

同社は直近の評価額を明らかにしていないが、今回の調達資金を用いグローバル市場でのマーケティング活動を拡大する。

Insta360は日本ではソフトバンク傘下のSB C&Sとパートナーシップを結び、先日は最新モデルの「Insta360 EVO」を発表した。180度3D撮影が可能なInsta360 EVOは、VR(仮想現実)撮影の新時代を切り開くデバイスとして注目を集めている。

Insta360の設立は2014年。当時、まだ南京大学の学生だった創業者の劉靖康(リウ・ジンカン)が動画サイトでVR映像を見て、衝撃を受けたのをきっかけに会社を立ち上げた。

「当時はVRコンテンツを撮影する360度撮影対応のカメラがまだ少なく、この分野で起業すればチャンスがあると思った」と、劉は昨年のフォーブスジャパンの取材に応えていた。

Insta360は2017年発売のInsta360 ONEシリーズで、360度カメラ市場に参入。同社は「中国版GoPro」とも呼ばれるが、GoProが収益化に大苦戦中であるのに対し、Insta360は2年間で売上高を5倍に拡大し、黒字化を実現している。劉はテッククランチの取材に対し、来年にも中国市場でIPOの実施を計画中であると述べている。

Insta360の製品の特徴は、誰でも手軽に360度撮影を可能にし、没入体験をSNSで簡単にシェアできるようにした点にある。

中国における景気減速が伝えられる中でも、「当社に対する投資家らの、投資意欲の減退は見られない」と、Insta360の広報担当のマックス・リヒターは筆者のEメール取材に回答した。


最新モデルの「Insta360 EVO」は直販価格5万6570円(税込)で、SoftBank SELECTION オンラインショップの他、全国の家電量販店で予約を受付中。

「Insta360は中国のテック業界で独自のポジションを確立した。没入感の高い360度映像に対する需要は高まっており、今後も高い成長機会が見込める」

ドイツ出身のリヒターは大学卒業後にメルセデス・ベンツに就職し、香港でマーケティング担当を務めた後、深センが生んだ世界的ドローンメーカーのDJIに勤務した経歴を持つ。

リヒターは2016年からInsta360の広報チームに参加。サッカー界のレジェンドのフランチェスコ・トッティをインフルエンサーに起用するなど、バイラルマーケティングを加速させてきた。

直近では、2018年冬季五輪で金メダルを獲得したスノーボード選手のレドモンド・ジェラルドや、バイラル動画の天才として知られるケイシー・ナイスタットらが、Insta360の製品を愛用している。

「Insta360にとって日本は米国や英国、中国やドイツと並ぶ重要な市場だ。今回の調達資金を用い、日本でのマーケティング活動もさらに活性化させていく。今後は東京に拠点を開設し、現地でのコミュニティの育成や製品のサポートを拡大する」とリヒターは述べた。

取材・文=上田裕資

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