2人が作った最初の製品は、乳製品を使わない植物由来のバター代替品ファババター(FabaButter)だ。全米のイータリー店舗で購入できる同商品は、アクアファバ(ひよこ豆を煮た後に出るタンパク質とでんぷんがたっぷり入った水)を乳化剤として使用し、味や口当たりを改善したものだ。
発表資料によると、フォラは「持続可能で乳製品を含まない一方、味と機能を最優先にした商品の提供」を目指している。ファババターはまだ始まりに過ぎず、オルトマンとマクルーアはアクアファバのさまざまな使い道を考えている。
ファババターは、バターの脂肪たっぷりの味や舌触り、広げやすさを再現し、現在市場で販売されている乳製品不使用バター代替品とは一線を画すものだ。ファババターの炎点は通常バターよりも高く、調理もしやすい。
発表資料には「ファババターは、本物のバターと同じように焼いたり溶かしたり、塗ったりすることができる。また、アクアファバやココナッツクリームなど、持続可能で遺伝子組み換え食品ではない材料のみで作られている」とある。また、ビーガンやグルテンフリー、大豆フリー、乳製品フリー、乳糖フリーとアレルゲンにも対応し、ヤシ油も含まない。
フォラには既にシェフ層のファンがいる。同社のウェブサイトには食品業界の著名人らからの推薦文が掲載され、アバン・ガーデンやレディーバードなどニューヨーク市のレストランを経営するラビ・デロッシはファババターを「市場に出ている中で群を抜いて良いバター」と説明している。
ファババターの開発は、環境や健康面での懸念から植物由来の食生活を選択する大きなトレンドの一環だ。同社によると、ファババターの生産による二酸化炭素の排出量は通常のバターと比べて4分の1だ。フォラは「牛を1頭育てるには大きな土地と大量の水が必要になり、貴重な空気が汚染される」と述べている。
ファババターは、ココナッツオイルのような健康的な飽和脂肪でできており、食塩の量は競合企業の半分だ。米保健福祉省(HHS)と農務省(USDA)がまとめた「米国人のための食生活指針(Dietary Guidelines for Americans)」最新版では、1日のナトリウム摂取量は2300ミリグラム以下を推奨しているものの、米国人の大部分は3400ミリグラム以上摂取している。
ファババターはこれまで、ニューヨーク市を拠点とするパン屋、ピーティーズ・パイ・カンパニー(Petee’s Pie Company)やママン(maman)とコラボし、ビーガン向けのデザートに使用された。