ジム・ロジャーズの提案 「子供が15歳なら韓国語、1歳なら中国語を学ばせなさい」

投資家ジム・ロジャーズ




子供が1歳なら「中国語一択」


──中国が再び世界のトップに君臨するという根拠はどこにあるのでしょうか?

まず、先ほども触れたように中国は毎年アメリカの10倍、日本の15倍ほどエンジニアを輩出しています。その結果として、世界のユニコーン企業(企業評価額が10億ドルを超える非上場のテクノロジー系ベンチャー企業)の約3割が中国にある、という傑出した状況を作り上げています。

──それは驚きですね。

さらに、百度、アリババ、テンセント、ファーウェイの4社はアメリカの4大IT企業である「GAFA」を凌ぐ勢いで成長しているのです。ピークを過ぎたアメリカが世界一の座を明け渡すのは時間の問題でしょう。

──とはいえ、中国はリスクを抱える国では?

中国はもちろん問題を抱えています。

しかし忘れてはいけません。20世紀、アメリカは最も成功した国でしたが、問題は山積し、数々の紛争も起こっていました。幾度も経済不況に苦しめられましたし、人権、法律もまるで未整備。アメリカはひどい場所でした。それでも急成長できたのです。

以上から、あなたの1歳の娘さんはマンダリン(中国の公用語)を学ぶべき、と断言できるのです。

──では、別の観点からお聞きします。翻訳機などの進化が目覚ましいですが、ここまで進化すると、言語習得の必要性は薄くなるのではないでしょうか?

いえ、そんなことは起こり得ません。疑いの余地もない。AIに取って変わることはありえないのです。

通訳テクノロジーがどれだけ進化しても、自分自身で理解したうえでの瞬間的な反応が必要なのは変わりませんし、エスカレーターで小耳に挟んだ情報が事業の明暗を分ける、というシチュエーションは容易に想像できます。

つまり「自分自身で言葉を操れる」を超えるものなどないのです。

あなたも、どこかのバーで誰かに英語で話しかけられた時、AIに頼って会話をしたいですか? きっとそれは全く違う体験になってしまうのではないでしょうか?

──では、どのようにしてマンダリンの学習をスタートすればいいでしょうか?

今1歳であるならば、即座にかかってもいいくらいです。本人も意識していない内に。例えば、中国語のアニメのDVDを買い与えるのもいいでしょう。

──留学させるのであれば、ジムさんとその娘さんのように、シンガポールがいいのでしょうか?

じつは、シンガポールで話されているのは決してハイソなマンダリンではありません。英語も同様です。マンダリンを正式に学ぶのであれば、大連ですとかハルビンといった中国の北方出身の家庭教師に学ぶのが一つのオプションになるでしょう。

──宗教理解、異文化理解のためにシンガポールはいい場所ですか?

宗教の多様性という意味では仏教、イスラム教、ヒンズー教、キリスト教、言語の多様性という観点でも英語、タミル語、マレー、中国語の4カ国が主要言語であるので、環境としてはいいでしょう。しかし、繰り返しになりますが、きっちりとしたものを学ぶためには中国に留学させるか、きちんとした教師をつけるべき。

もちろん、多様性を気にされるのであれば、日本人学校に通わせるべきではありません。

留学や学習によってマンダリンを身につけたあなたのお子さんは、いつの日か心からの感謝を届けてくれるでしょう。


ジム・ロジャーズ氏の近著『お金の流れで読む 日本と世界の未来』(PHP新書)が発売からわずか1カ月で14万部を突破している。

取材・文=松浦朋希 写真=菅野祐二

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