ネットフリックスとプロダクションI.Gが共同制作、「4K HDR」の世界を模索

共同制作中の4K HDR 手描きアニメ作品のサンプル画像

コンテンツのクオリティにこだわり続けるネットフリックスが、新たな挑戦を発表した。2月14日、世界で初めて、4K HDR画質でのオリジナル手書きアニメ制作プロジェクトを行っていく旨を明らかにしたのだ。

しかも、共同で制作にあたるのは、日本のアニメプロダクション最大手であるプロダクションI.G。完成作品は、オリジナル作品として今秋に配信予定だという。

ブレない「コンテンツ」力

ネットフリックスは現在、190カ国以上でサービスを展開し、有料会員は1億3900万人にのぼる。2018年にはオリジナル作品の制作に注力し、そこにかける約130億円という規模の予算でも注目を集めた。

その甲斐あって、昨年公開されたオリジナルの実写映画「ROMA/ローマ」は、サブスクリプション発の作品としては初めてベネチア国際映画祭で最高賞の「金獅子賞」を受賞。本年度アカデミー賞作品賞の最有力候補とも言われている。またアニメ作品では、世界同時配信された「DEVILMAN crybaby」が年始から大きな反響を呼んだ。

そんな中で今回のアニメプロジェクト発表は、2019年もネットフリックスが積極的なコンテンツ制作を続けていくことの表明といえそうだ。2019年後半には、ウォルト・ディズニーが独自の配信サービスを始めると発表しており、コンテンツ制作をめぐる競争はより過激になると予想されている。

良い作品を、より美しく

またネットフリックスはオリジナルコンテンツの制作に限らず、より高度な映像体験の提供にも積極的に取り組んでいる。

SDR(Standard Dynamic Range)でつくられた既存作品を、高画質なHDR(High Dynamic Range)にリマスタリングして配信しているほか、作品を最適な画質で視聴できるよう、ソニーと共同開発を行い、テレビ「BRAVIA」2018年モデルに「Netflix専用画質モード」を搭載するなどしている。

2019年に配信されるオリジナルアニメ作品の「ULTRAMAN」や「聖闘士星矢: Knights of the Zodiac」は、HDRで配信される。
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文=野口直希 写真提供=ネットフリックス

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