1978年に彼が描いたスケッチには、作物の生育状況をモニタリングする機械も描かれていた。しかし、Parkinsonはこの技術が将来的に、スマートフォンを通じて世界中の人々を追跡することになるとは想定できなかったという。
パーキンソンは2月12日、英ロンドンで「クイーンエリザベス工学賞」を受賞した。この賞は世界で最も権威のある工学賞で、審査委員長は「GPSは今や至る所で利用可能で、世界中の数十億人に毎日恩恵を与えている」と述べた。
しかし、パーキンソンは現在のGPSの利用のされ方が「全く気に入らない」と、受賞式後に話した。「誰かに常に追跡されているなんていうアイデアが、許せない」
現代の多くの企業がGPSで我々の位置情報を、追跡することで利益をあげている。先日のニューヨーク・タイムズ(NYT)の記事では、75の企業が匿名の個人の正確なロケーションデータを取得しており、そのうち数社は米国の2億台ものモバイル端末を追跡しているとされた。
また、調査企業Motherboardによると、米国の大手通信キャリアから悪徳業者たちが端末の位置情報を購入しているという。彼らは刑事手続きで保釈された人々を探し出し、保釈金の肩代わりを行うビジネスを行っている。
1970年代後半に、全地球測位システム(Global Positioning System)の開発を指揮したパーキンソンは、「GPSの父」と呼ばれている(編集部注:GPSの父の定義については諸説あり、2014年に亡くなったロジャー・リー・イーストンだとする説もある)。
「GPSは現在、世界中の人々に利用され、交通ナビゲーションから災害救助、気候監視システム、輸送や農業、工業の基盤を支えている」と、クイーンエリザベス工学賞の審査員らは評価した。
しかし、今回の賞のチェアマンで、元英国BPのCEOのジョン・ブラウンは「GPS技術の最も先進的な部分が、予期せぬ事態を招くことになった」と話す。
「予期せぬ事態というのはもちろん、プライバシー侵害のことだ」と、彼はフォーブスの取材に話した。