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I cover geology, earth science, and natural disasters.

pisaphotography / Shutterstock.com

世界の海水温の上昇がいかに深刻かを表す報告が次々と発表されている。英紙ガーディアンが1月7日に掲載した記事によると、熱量の規模は海で核爆弾を毎秒3〜6個爆発させるのと同レベルだという。

海水温の上昇は科学者たちの想定よりも遅く、その理由は解明されていなかった。しかし、最新の研究によると、温度の上昇は以前思われていたよりも速く進んでいることが明らかになっている。

学術誌「Advances in Atmospheric Sciences」で発表された報告によると、2018年の海水温は1958年以来で最高に達したという。さらに、2017年から2018年にかけての水温の上昇は、中国が2017年に発電したエネルギーの388倍以上だったという。海水温の上昇は2014年から続いており、今後もこの状況が続くことが予想される。

温度の上昇の原因は温室効果ガスだ。海は温室効果ガスによってこもった熱の90%以上を吸収しているとされる。海水は空気に比べて約1000倍の熱を、温度を大きく変えずに蓄えることができると考えられている。

海水温の上昇の影響は多岐にわたる。海面が上昇し、小さな嵐でも沿岸部に洪水が発生することになる。また、海水温の上昇がハリケーンの雨量を増やし、被害を大きくする。

さらに恐ろしいのは、海水温の上昇が海洋大循環と呼ばれる地球全体の海水の循環に影響を与えることだ。海洋大循環により、地球の気候は穏やかに保たれているが、温暖化の影響でこの海流が弱まりつつあることも確認されている。

現代から約1万2900年前のヤンガードリアス期には、海洋大循環が停止した、もしくは著しく停滞したと考えられている。その際に起こったのが気温の急激な低下で、特に北大西洋地域が寒冷化したことが知られている。

このまま海水温の上昇が続けば、人口の多い場所で干ばつが続き、他の場所では急激な雨量の増加が発生する可能性もある。これにより、人類の活動に大きな影響が出ることは確実だ。

人類はこれまで様々な環境に順応して生き延びてきたが、今後の環境の激変により、戦争や飢饉で多くの人命が失われ、巨大な損失が発生することも想定される。

編集=上田裕資

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