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医療ロボット、AI、機械翻訳を中心に寄稿

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機械翻訳の精度は向上しつつある。とはいえ、機械がミスを犯すこともあり得るわけで、我々人間には機械のミスを見破るほどのより高度な語学スキルが求められている。そんななか、学校教育の現場は変革を遂げようとしている。

米IBMはニューヨーク州にあるレンセラー工科大学のコグニティブ&イマーシブシステムラボ(CISL)と協働し、最新のテクノロジーを駆使した語学学習プラットフォームを開発。音声認識、自然言語理解、コンピュータビジョン技術などを搭載した没入型の教室内にはAIアシスタント「ワトソン」が配置されており、学生とAIアシスタントとの対話を通じて授業が進められる仕組みとなっている。すでにレンセラー工科大学の「中国語1」の授業では、最先端の語学授業が展開されている。

学習環境に設定されたコグニティブ没入型ルームは普通の教室というより、まるで中国のレストランや太極拳の道場のような居心地である。さらに、室内には360度パノラマを再現可能なディスプレイシステムの他、音響システム、複数台のカメラ、ジェスチャーや音声で操作可能なKinectセンサーなどを内蔵。学生はワトソンに中国語で話しかけながら会話力を高めていく。

英語を第一言語とする米国人にとって、文法構造も語彙体系も異なる中国語は難易度の高い言語である。特に難易度の高い言語に挑戦する場合には、まず会話力から身に付けるのが重要である。

外国語を習得するために現地への留学を考える者も少なくないが、もしかすると中国語圏の文化に没入することで、より自然な形で中国語を習得するという海外留学でしか得られなかった体験が教室内で得られるようになるかもしれない。

開発者いわく、最終的にはゲーム要素の強いプラットフォームにする予定であるという。VRやARを活用した語学学習を提案するITベンダーが多いなか、ヒューマンスケールに重きを置いた没入型のゲーム環境において、特殊な装備を身に纏うことなく、どの程度の会話力を向上可能であるかは実に興味深い。

ゲームのようなもので本当に言語習得は可能なのか?

米セントルイス大学のSimone Bregni博士は、アドベンチャーゲームを使ってイタリア語を教えている。アドベンチャーゲームに没頭した少年時代の経験から、ゲームを通じて語彙や文法の知識が増えるとともに、文化的教養、さらには問題解決力が培われ得ると考えている。

少年時代における気づきは彼の研究者および教師としての人生にも影響を与え、今日では世界各地の大学にて「ゲームと言語習得」に関するワークショップを開講している。

最新のテクノロジーを活用した語学授業は、世界中の教育者の間で関心トピックのひとつとなりつつある。文部科学省はNHKを通じ、2020年の新学習指導要領の施行を前に、今年度から日本全国の学校にて英語を教えるAIロボットを試験的に導入すると発表している。

文=大澤法子

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