経済・社会

2019.01.02 11:00

増大する「長生きリスク」、私たちは備えることができるか?


定年後の生活は支えられない

私たちはいずれ、次のどちらかになる。

・必要以上に節約し、お金を余らせて人生を終える

・貯蓄で暮らせる以上に長生きし、社会保障と家族の温情に頼って晩年を生きる

先に挙げた例は、大半の人にとって実現不可能だ。驚くほど多くの人が、借金を抱えて死ぬことになる。

つまり、寿命が延びることで、十分な貯蓄をすることはますます困難になるということだ。例えば、大学を出て25歳から収入を得られるようになったとする。65歳で定年退職するとすれば、その人が働く期間は40年間だ。

その間には家を買い、子供たちの学費を出し、人によっては自分の学生ローンを返済しなければならない。それに加えて、いわゆる普通の、できればより快適な暮らしをしようとする。その40年の間に、退職後の30~40年間の生活を支えられるだけの貯蓄をすることは、数学的に可能なのかといえば、それは恐らく無理だ。

もちろん、起業したり、新たな技術を開発したりする人もいるかもしれない。だが、一般的な労働者は、それぞれの収入の大半を貯蓄に回すしかない。そして、その貯蓄は退職後の基本的な生活に必要な分だけで、30年もかからずに底をついてしまうだろう。

いずれにしても、技術は進歩している。その中で私たちは、負担と給付の折り合いをつける方法を見つけなくてはならない。ただ、それを実現するための方法は、全く明らかになっていない。

編集 = 木内涼子

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