しかし、自動運転車が走行するのは道路だけとは限らない。ホンダは農地や建設現場、火事現場などで活躍するオフロード向けの小型ロボ作業車を開発した。
ホンダは、今年1月にラスベガスで行われたCESでロボ作業車のコンセプトを発表して以来、様々な現場でテストを行ってきた。「Honda R&D Americas」でシニア・プラナーを務めるPete Wendは声明で「1月に開催されるCES2019年では、ロボ作業車の用途を拡大する付属品やアクセサリーを開発するパートナーを開拓したい」と述べた。
米国では、自動運転車が公道を走行する上でのルールがまだ定まっておらず、州によってガイドラインが異なる。2017年に可決した超党派による自動運転車推進法「AV START Act」は、基本的な連邦規則を定めているが、まだ上院商業委員会で精査が行われている最中だ。
ホンダは今年10月、ゼネラルモーターズの自動運転車部門「GM Cruise」に27億5000万ドル(約3140億円)を出資し、両社で自動運転車を共同開発すると発表した。
ホンダのロボ作業車は、公道での走行を目的としていないため、商用化を図る上での障害は何もない。また、ウェイモの自動運転ミニバンやGM Cruiseの自動運転EV「ボルト」と異なり、ロングレンジのビジョンや高速走行を必要としないため、高価なLiDARやセンサーを搭載していない。
自動運転の普及は建設業界から?
ロボ作業車は、作業員や他の車両の後をついて走行したり、A地点とB地点の間を行ったり来たりするようプログラム可能だ。ホンダは、これまでノースカロライナ州にある大規模な太陽光発電会社や、コロラド州の山火事現場、カリフォルニア州にある農業調査施設でテストを行ってきたが、1月のCESではその結果を発表する予定だという。
ホンダ以外にも、ロボ作業車を開発している企業は多い。例えば、「ボストン・ダイナミクス」は、軍隊や救助隊向けの製品を開発しており、「Augean Robotics」は農業向け製品を開発している。また、「Clearpath Robotics」はホンダと同じような多目的ロボ作業車を手がけている。
ホンダは、芝刈り機やスクーターから水素自動車まで幅広い製品を提供しているが、ロボ作業車を新たにラインナップに加えるかは未定だ。同社は、価格についても詳細を明らかにしていない。ホンダ製のロボ作業車が普及するかどうかは不明だが、最初に自動運転技術の恩恵を受けるのが一般ドライバーではなく、農家や建設会社である可能性が高いのは確かだろう。