NASAの火星探査に同行した「ウォーリーとイヴ」たちの活躍

Photo by NASA / JPL-Caltech

NASAの小型人工衛星a「MarCO(マルコ)」は11月26日、火星探査機インサイトの着陸を見事に中継し、深宇宙への旅にも耐えうることを証明した。

2機のMarCOにはそれぞれピクサー社の映画「ウォーリー」からとったウォーリーとイヴというニックネームがつけられており、7カ月にわたった火星への旅をインサイトと共にした。そして、インサイトの降下・着陸の模様をわずか8分で地球の指令室へと届けた。

「ウォーリーとイヴは期待通りの働きをしてくれた」と語るのは、MarCOを作ったNASAのジェット推進研究所(カリフォルニア州パサデナ)に所属するMarCO担当のチーフエンジニアAndy Kleshだ。

「着陸において最新の情報を地球に送ってくれた。彼らが今後のミッションに“同行者”として参加するにあたり、絶好のテストとなった」

MarCOは今回のミッションで飛行記録をつけるアシスタントのような役割を果たし、エンジニアたちに貴重なデータを提供した。火星への着陸の成功率は50%弱だが、インサイトはすべてがうまくいき完璧な着陸を果たした。

今後、小型人工衛星はさらなる役割を担うことになる。イヴとウォーリーは科学的調査を行う機器を搭載していなかったが、NASAはイヴを用いて無線信号を火星の大気を通して送るテストを行った。

「小型人工衛星はカメラや科学機器を深宇宙へと運ぶ、素晴らしい可能性を秘めている」とジェット推進研究所で小型宇宙船を担当するジョン・ベイカー(John Baker)は話す。

「彼らが今後、NASAの宇宙船に置き換わる存在になることはないが、新たな方法での探索を可能にする低コストの “同行者”といえる」

ウォーリーに搭載されているカメラは一般に市販されているものだが、火星の撮影に成功し、火星の衛星であるフォボスとダイモスの撮影にも挑戦した。

「ウォーリーが素晴らしい絵ハガキを火星から送ってきてくれた」とジェット推進研究所のMarCOのミッションのマネージャーで、2機の撮影プログラムを担当したコディ・コリー(Cody Colley)は語る。「上空1600キロメートル近くからの眺めにワクワクしたよ」

編集=今村

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