EUが公開した「世界の著作権違反サイト」 米大手の名も

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欧州連合(EU)の欧州委員会は今回が初となる、「悪質サイト」のリストを発表した。これは、著作権侵害により利益を得ているサイトやウェブサービスの一覧だ。

このリストは今後、EUが知的財産権を守る取り組みに活用され、著作権行為を行うサイトや国に圧力をかけていく。

「著作権の侵害行為は欧州の経済に打撃を与えている。また、欧州のクリエイティブ領域の雇用にも影響を与えている。こういった行為は、欧州の市民が、それが海賊版コンテンツであることを認識しないまま、違反コンテンツに対価を支払うリスクを生み出している」とセシリア・マルムストローム貿易担当欧州委員は述べた。

EUは今回のリストをCounterfeit and Piracy Watch List(偽造と著作権違反に関わるウォッチリスト)と呼んでいる。ここで選ばれたのはサイバーロッカーと呼ばれるストレージサイトや、不正なデータをストリーミング配信するサイト、P2Pやトレント系のサービスだ。

なかでも悪質とされたのが米国のホスティングサービスのCloudflareで、欧州委員会はこのサービスが世界の海賊版サイトの40%で使用されていると述べている。また、スイスのホスティングサービスのPrivate Layerも、サイト運営者の情報開示に応じず、多くの悪質サイトが同社のサービスを利用しているとされた。

また、サイバーロッカー系のサイトとしてはロシアで運営されているとみられるRapidgatorや、Uploaded.net、Openload、4sharedなどの名前があがっている。さらに、学術論文を出版社の有料サービスを回避して直接ダウンロードできる、オンライン検索エンジンのSci-Hubも特に悪質であるとされた。

トレント系のサイトでは、スウェーデンの反著作権運動グループが設立したThe Pirate Bayや、ボスニア本拠のRARBG、ロシアのRuTracker、1337x.to、Torrentz2の名もあげられた。

英国の音楽業界の業界団体IFPI(国際レコード・ビデオ製作者連盟)は、EUがこのリストを作成したことを歓迎している。

「今回のリストにより、音楽コンテンツの著作権違反が広がっていることが世界に認知される。なかでも、ユーチューブなどで広まる、ストリームリッピングと呼ばれる不正なコンテンツ配信に焦点が当てられたことは意義深い」とIFPIは述べた。

編集=上田裕資

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