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I write about the future of books and the business of storytelling.

Yulia Grigoryeva / shutterstock

米出版大手「ハーパーコリンズ」は8月9日の四半期決算発表で、4億9000万ドルの売上を報告した。売上は前年同四半期から8300万ドルの上昇で、オーディオブックや電子書籍の売上増が貢献した。

伝統的出版社の売上はこのところ堅調だ。英国の出版業界の売上も2017年に57億英ポンド(約8060億円)を記録し、前年から5%の伸びだった。

しかし、今年6月の作家の収入に関するレポート「Authors’ Licensing and Collecting Society」によると、過去10年で作家たちの稼ぎは42%減少し、プロの作家の収入の中央値は1万500英ポンド(約148万円)以下となっている。出版社の売上が伸びている一方で、なぜ作家たちは稼げないのだろう。

背景には出版社の売上の伸び悩みがある。米国の出版社の総売上は2017年に262億3000万ドル(約2.9兆円)だったが、2016年の262億ドル7000万ドルから微減となっていた。売上が維持できているのは、政治的な暴露本やオーディオブックの売上が伸びたためだ。

また、出版社のデータは曖昧なもので、これが出版業界全体の状況を示すものとはいえない。ここにはセルフパブリッシングの作家の売上は含まれておらず、オンラインで販売される電子書籍の売上の約8割は、アマゾンの懐に入っている。

作家たちの収入は低下が続いている。2015年の作家連盟(The Authors Guild)の調査では、執筆で生計を立てられている作家はわずか39%だった。この分野では経歴の長さと収入は比例せず、15年以上のキャリアを持つ作家らは、2009年から2015年にかけて最大の収入減を記録したグループとなっていた。

出版業界では統合が進んでいることも、作家の収入の減少になっていると作家連盟は指摘する。「出版社らがこれまで以上にコスト削減のプレッシャーにさらされるなかで、まず犠牲となるのが作家への支払い額だ」と作家連盟の幹部は2016年の記事で述べていた。

海賊版の横行も出版業界にダメージを与えている。先日は不正なPDFをシェアするサイト「OceanofPDF」が大手出版社からの数百件にのぼる抗議を受けて、ようやく閉鎖されたが、同様なサイトは今後も現れるだろう。

出版業界は今後も当面の間は存続を続け、作家たちも作品を生み出す努力を続けていくだろう。しかし、アマゾンが価格決定権を握るなかでコストの削減圧力はさらに強まっていく。そこに海賊版の横行などの要因が加わり、作家の収入は今後も減少が続いていくことが予想される。

編集=上田裕資

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