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I cover food, drink, and especially my obsession: all things whisky.

グレンモーレンジーのウイスキー(Scruggelgreen / Shutterstock.com)

スコットランドのハイランドにあるグレンモーレンジーのウイスキー蒸留所は、ウイスキーの製造だけにとどまらず海洋保全に乗り出した。同蒸留所は、スコットランドのヘリオット・ワット大学、英非営利団体の海洋保全協会(Marine Conservation Society)と協力し、蒸留所付近のドーノッホ湾に2万個のカキを放流することで、かつて漁業により絶滅したカキ礁の再建を目指す。カキ礁全体を再建する試みは欧州初だ。

プロジェクトが成功すれば、カキの数は3年で20万、2023年までには400万まで増加し、40万平方メートルのエリアに広がる見通しだ。

ホタテやムール貝産業からは計20トンの貝殻が集められ、カキ礁形成のため2つの場所で海底に配置された。これにより海底の堆積物が安定化し、カキがその上に成長することができる。これは、1800年代の乱獲によりカキが絶滅する前の生育環境を再現したものだ。

同活動は、グレンモーレンジーの企業の社会的責任(CSR)戦略の一環として、同社とそのパートナーが設立した、ドーノッホ環境改善プロジェクト(DEEP)の最終段階に当たる。カキを環境に再導入することにより、地域の生物多様性が増えるだけでなく、同蒸留所が設置した嫌気性消化施設と並行し、蒸留による廃棄物を周囲の海から取り除くことができる。

DEEPは、この2つのシステムを活用すればグレンモーレンジーの全有機廃棄物(同蒸留所が排出する廃棄物のほぼ全てに当たる)を無害な物質とエネルギーに完全処理できると見込んでいる。

グレンモーレンジーのCSR部長、ハミッシュ・トリーは「私たちはDEEPを次の段階に進めることができ、とてもわくわくしている。また当社の、調査を主導とした綿密な手法は、スコットランド政府機関や地元のカキ生産者など広い方面から熱心な支持を受け、大いに励まされた」と述べた。「これは本当に協力的な取り組みだ。蒸留所の設立175年を迎え、このような先駆的な環境プロジェクト完了を目の前にでき、社員一同とても誇りに思っている」

同プロジェクトにはもう一つ、重要な側面がある。ウイスキーを飲むことで、カキ礁再建の取り組みを支援できるのだ。グレンモーレンジーの限定版ボトル「ドーノッホウイスキー」が1本売れるたび、同蒸留所はDEEPプロジェクト支援のため、海洋保全協会に寄付を行う。このウイスキーは、グレンモーレンジーには珍しくピートの香りがし、スペインのシェリーたる「アモンティリャド」で一部熟成されたウイスキーを使ったもので、値段は69ポンド(約1万円)だ。

保全プロジェクトは称賛に値し、支援の価値があるものだ。私も近い将来、ドーノッホ湾で間もなく育ち始めるカキの一つを食べながら、グレンモーレンジーを楽しむことができることを祈っている。

翻訳・編集=出田静

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