サンフランシスコのSelena Scolaはフェイスブックで派遣社員として9カ月間勤務し、数千に及ぶ動画や静止画、ライブストリーミングコンテンツの監視にあたっていたが、その中には児童ポルノ、レイプ、殺人に絡むものが大量に含まれていたという。
訴状によると、Scolaには業務上の心理的負担に対処するための、適切なトレーニング機会が与えられなかった。法律事務所「Burns Chares」のKorey Nelsonは、「このような画像を継続的に見続けたことが、ネガティブな結果を生んだことは明らかだ」とのコメントを9月24日発表した。
「フェイスブックは安全な職場環境を提供する義務を怠り、契約労働者に取り返しのつかない心理的トラウマを植えつけた」
2017年6月に勤務を開始したScolaはPTSDと正式に診断される以前から、だるさや不眠、不安に悩まされたという。その後、テレビで暴力的なシーンを見ただけで症状が起こるようになった。
「フェイスブックはコンテンツ監視員の負担を軽減すると同時に、心理的トラウマを被った人々をケアせねばならない」とScolaの弁護士は述べている。
フェイスブックでは現在約7500名のコンテンツ監視員が働いており、今後は2万名まで増員する計画だ。Scolaの弁護団らはこの件で今後、集団訴訟を起こすことを見込んでいる。
同様な訴えはマイクロソフトでコンテンツ監視業務にあたった2名の人々からも起こされている。彼らは損害賠償だけでなく、マイクロソフトが今後、適切な業務管理を行い、労働者に医師とのカウセリング機会を与えることを望んでいる。
かつては非常に稀だったコンテンツ監視員という仕事だが、テック企業らがプラットフォームの健全化を迫られる中で、膨大な人員がこの業務につくことになった。フェイスブックのオペレーション担当役員のEllen Silverは7月のブログの投稿で「かつてない規模でコンテンツの監視が行われている」と述べていた。