ソーシャルメディア上では「#deletefacebook(フェイスブックを削除せよ)」との呼びかけが広まっている。3月20日、フェイスブック傘下のWhatsApp共同創業者のブライアン・アクトンも、この動きに賛同する声明を発表した。WhatsAppは2014年に約190億ドルで、フェイスブックに買収されていた。
フェイスブックに関しては昨年から、ロシアの政府機関がユーザーの個人情報を不正利用した疑惑が持ち上がっていた。10月に同社はロシア政府の関連企業が掲載したプロパガンダ広告が、1億5000万人にリーチしていた事実を認めた。
そして、先週から新たな疑惑として急浮上したのが、ケンブリッジ・アナリティカをめぐる問題だ。同社はユーザーのソーシャル上の行動履歴データをもとに、マイクロターゲティングを行う選挙コンサルティング企業として知られる。
ケンブリッジ・アナリティカの元社員のクリストファー・ワイリーは、同社がフェイスブック上の性格診断クイズを通じ、数千万人の利用者のデータを収集したと主張している。ケンブリッジ・アナリティカはそのデータから個人の属性を割り出し、ユーザーたちにトランプに親しみを持つようなコンテンツを送りつけたという。
フェイスブックは3月16日、ケンブリッジ・アナリティカの行為は「許しがたいものである」と述べ、同社のプラットフォームへのアクセスを遮断したと述べた。ニューヨーク・タイムズによると、ケンブリッジ・アナリティカは盗み出した個人データの大半を、今も保有しているという。
罰金が課される可能性も
米連邦取引委員会はこの件で、既にフェイスブックに対する調査を進めている。また、欧州委員会もセキュリティの専門家らに調査を依頼した。今後の調査の進展次第で、フェイスブックには罰金が課される可能性がある。
フェイスブックはこの問題の調査をデジタルフォレンジック企業の「Stroz Freidberg」に依頼しようとしたが、英国の個人データ保護を管轄する情報コミッショナー事務局(ICO)がこの動きを阻止した。ICOは当局に対し捜査令状の発行を求めている。
今回の騒動でフェイスブックの株価は大幅に下落。2日間で600億ドル(約6.4兆円)以上の時価総額が吹き飛んだ。フェイスブック株は3月19日に7%近い下落となったが、これは過去4年で最大の下げ幅だった。
フェイスブックは今、ユーザーや当局の信頼を取り戻せるか否かの、重大な岐路に立たされている。SNS上での反フェイスブックの声の高まりは、利用者離れを招くのみならず、同社の独立性やコアビジネスを脅かしかねない新たな規制の導入を招くかもしれない。