多様性が大切な理由
多様性のある組織が多大なる恩恵を得ることは、既に示されている。多様性を持つ企業は創造性が高く、より強力なイノベーションとより大きな市場シェアを手にしている。多様性のある従業員チームは事実をより客観的に処理できるため、よりスマートであるとの調査結果も出ている。
では、自分の企業に多様性が不足しているのかどうかは、どうすれば分かるのだろうか? まず多様性には、先天的なものと後天的なものの2種類があることを知る必要がある。先天的な多様性とは、人種、性別、年齢などの特性だ。一方で後天的な多様性は、教育、知識、スキルなど、特定の経験から得られるもの。例えば、海外勤務経験のある従業員を雇うことは、後天的な多様性の好例だ。
企業文化を刷新しようとする場合、先天的な多様性を持つ従業員を雇用するだけでは足りず、これら2つの意味で多様な従業員をそろえる必要がある。
どのような候補者を求め、どのような多様性を必要とすべきかはこれで分かっただろうが、ではどのようにしてそれを実現すればいいのか? 以下に、組織の多様性を向上する5つの方法を紹介する。
1. 従業員に協力を求める
従業員が会社に多様性をもたらす方法がいくつかある。まず、少数派グループに属する従業員を対象に、社内での経験についてアンケートを取る。多様性はさらなる多様性を呼ぶため、入社を検討している候補者に対して、ユニークかつ偽りのない体験談を伝えられれば、候補者の興味を引くことができる。
次に、現従業員には数多くのコネクションがあり、その中には通常だったら候補者と成り得なかった人たちも含まれている。これを利用することで、同時に従業員のエンゲージメント向上と人材の維持にもつながる。従業員の意見や提案を聞くことで、自分が大切な存在だと感じさせることができるためだ(これは身の安全や所属意識と共に人間の求める3大願望のひとつだ)。さらに、社内に信頼できる知り合いがいる人材を雇えば、その人が辞める可能性も下がる。
2. 募集要項は経歴よりも成果を重視する内容にする
より多様な候補者を集めたければ、募集要項の職務内容は慎重に記述する必要がある。複数の研究によると、男性は自分の経歴が要件を60%満たしていればその仕事に応募する一方で、女性は自分が要件を100%満たしていると思えなければ応募しない傾向にある。
女性を遠ざけるような経歴重視の募集要項ではなく、職務を通じて何を達成できるのかを記述すべきだ。仕事に就いてから1カ月、半年、さらに1年で望める成果の例を示すとよい。