高橋は「活動を進めていくうち、より大事なのは『コミュニティ・ビルディング』であることに気づきました。何かやろうぜ、と集まった人たちの熱量は高い。そういう熱量の高い人たちが集まったコミュニティが形成されていきました。最もインパクトがあったのはその点です」と語る。
東北では、水産業が基幹産業の一つ。これからの水産業をどうすべきかを考えれば、おのずと東北がどうあるべきかを考えるようになる。つまり、自分たちの商品や会社だけでなく、地域全体のことを考えるようになる。
そこで「キャンプ」の次のステップとして、水産業全体、地域全体のことを考える「フィッシャーマンズ・リーグ」が立ち上がった。地域の水産業のリーダーたちが集まったフィッシャーマンズ・リーグは、「三陸」のブランディングや海外輸出、次世代への食育に取り組んでいる。
その後、東の食の会の三陸水産業での取り組みが、福島に横展開していったのは自然な流れだった。
「ふくしまファーマーズ・キャンプ」が立ち上がり、福島全域から前向きな農業者たちが集まり、マーケティング、ブランディングを学んでいる。そして、そこから、新しい農業を作るという意思を持った農業者のコミュニティが生まれている。
「今では『ふくしまファーマーズ・キャンプ』に三陸のフィッシャーマンが参加するなど、ごった煮のような、前向きな生産者による熱量の高いコミュニティが生まれています。ここから日本の一次産業が、地域のあり方が、変わっていくのではないかとワクワクしています」
高橋大就◎一般社団法人「東の食の会」事務局代表、オイシックスドット大地執行役員。1999年に外務省に入省後、2003年から05年にかけて在米国日本大使館勤務を経て、08年よりマッキンゼー・アンド・カンパニー入社。11年震災直後から同社を休職、11年6月、東の食の会発足とともに事務局代表に就任した。