香港政府、ブロックチェーン活用の貿易金融システムを本格化

香港金融管理局(Stripped Pixel / Shutterstock.com)

香港金融管理局(HKMA)はブロックチェーンを活用した貿易金融プラットフォームを開始しようとしている。このプロジェクトは監査法人「デロイト」が参画し、香港地域のトップ銀行5行(HSBC、中国銀行、東亜銀行、恒生銀行、スタンダードチャータード)などの合計21の銀行のサポートを受けて実施される。

今回の貿易金融プラットフォームは迅速でセキュアな貸付けや、信用状の発行、ファクタリング、輸出信用や輸出保険を可能にするものだ。国家規模のブロックチェーンネットワークを構築することにより、詐欺や不正を防げる点が最大のメリットとされている。

現在の貿易金融の現場では書類を用いたマニュアル作業が多く、不正やミスが起きやすいのが課題となっている。HKMAはブロックチェーンを活用することにより、これらの課題の解決を狙っている。

しかし、導入にあたっては潜在的なマイナス面や解決すべき問題もある。「平安科技(PingAn ONE Connect)」のCOOを務めるJessica Tanは「データの安全性と照合アルゴリズムの共有という対立する問題をどう解決するか。また、処理スピードの迅速さと、高い暗号強度を両立させるにはどうしたらよいかという課題がある」と述べる。

これらの課題はブロックチェーンを現実社会に適用する上で、乗り越えなければならないものだ。しかし、潜在的メリットを追求する人々によって、課題の解決に向けた取り組みが進んでいる。香港がどのようにして、政府レベルで新たなテクノロジーを導入するか、世界から大きな期待が注がれている。

編集=上田裕資

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