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スポーツ心理学で紐解く心の整え方

       

プロゴルファー 有村智恵(Photo by David Cannon/Getty Images)

女子プロゴルファーの有村智恵選手が今年7月13日から15日のサマンサタバサ・ガールズコレクション・レディース、猛暑の3日間の中、最終日に逆転優勝。ご縁があってサポートしている有村選手の6年ぶりの優勝に感無量だ。前回の記事で紹介した「チャンピオンの視野」を取り戻し、結果を出してくれた実に典型的な例だと思う。

過去にも数々の優勝歴を持ち、アメリカツア―でも活躍していた有村選手だが、帰国後は数年にわたって勝利から遠ざかっていた。そんな不調の日々から脱するため、一昨年から私が行うライフスキルのトレーニングを取り入れ、メンタルマネジメントの脳力アップに励んでくれた。

正直、私が有村さんと初めて会ったときは「凡人の視野」を持っており、とにかく結果を追い求めて自身の感情にも気付きづらく、とにかく気合と根性で頑張る!というような方だった。しかし、そこから自身を見つめ直し、自分づくりに素直にエネルギーを注ぎ、コツコツと心技体を整える努力をしていったところが、彼女の素晴らしい部分だ。

もちろん、もともと高い技術を持っていたとしても、練習によって日々技術を磨いていかなければいけないし、体力や健康面に関してもトレーニングや日常生活としっかりと向き合って改善努力をしていたに違いない。彼女の結果に対するコミットと、それに対する継続力に感服する。

彼女は、技術と体を支える土台が心の状態であることに気づき、心の状態をマネジメントする脳がライフスキルだという理解を深めることができた。「技」や「体」と同じようにエネルギーを投下し、チャンピオンの視野を意識しながら自己改革をした有村選手はまさしくチャンピオンにふさわしいと思う。

ライフスキルは、セルフマネジメントに対する気づきと思考の習慣である。

感情への気づき、過去未来に意識が暴走してしまうことへの気づき、結果だけを意識しすぎることへの気づき… そして「今を生きる」ことを意識し、言葉・表情・態度などの自己表現を大事にすること、そしてフローの価値を考える習慣をもつことで、常に外界と切り離して自らの心を整えること。

トップアスリートとは、極めて僅差な勝負の世界で戦っている。そんな中で勝ち抜いていくためには、パフォーマンスの質に影響する微妙な心の乱れを無くすことが大切だ。パフォーマンスの質を常に支えている心の状態をマネジメントできなければ、トップの世界で戦い続けることは難しいし、それはチャンピオンの視野を持っているとはいえない。

これはビジネスパーソンも同じことが言える。自身のパフォーマンスによって、ビジネス界で結果を出していく「戦い」を日々行っているのだ。ラウンドを重ねていくかの如く、日々の生活の中で仕事をしながら、何らかの結果のために戦っている。

有村選手が意識しているライフスキルの1つに「”ありがたい”と考える」ことがある。このとき、“ありがたい”と思う対象は不要である。この思考そのものに意味があり、心の状態はフローに導かれるのだ。

人は放っておけば、文句や愚痴を生み出し、自らの心の状態にストレスを生じさせるという悪しき仕組みを持っている。そんな仕組みの中で、セルフマネジメントをして心を整えるためにも、ライフスキルがどんな人にも必須なのだ。必ず結果が出る保証など存在ない。しかし、チャンピオンの視野をもって生きることは、すべての人にとって大きな可能性を秘めているのだとわたしは確信している。

連載 : スポーツ心理学で紐解く心の整え方
過去記事はこちら>>

文=辻秀一

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