ネットフリックスは7月17日、昨年買収したコミック出版大手「ミラーワールド」のコミック原作の映画やテレビ番組シリーズの新規投入プランを明らかにした。この動きから見えてくるのは、同社がオリジナルIPをいかに重要視しているかだ。
新規投入される映画は3作品。リンジー・ビアー脚本の「Empress」や、セオドア・メルフィが手がける「Huck」、マイケル・バコールが脚本を書く「Sharkey The Bounty Hunter」となっている。
また、ドラマは2作品の製作が進んでおり、スーパーヒーローものの名作として知られる「ジュピターズ・レガシー」を有名プロデューサーのスティーヴン・S・デナイトが製作。さらに、「アメリカンジーザス」を有名監督のレオポルド・ゴウトが手がける。
さらに、これらの映画やドラマの新装コミック版も、ストリーミングの配信開始に合わせて発売されるという。ミラーワールドの買収により同社は、自社が完全にコントロール権を持つIPを大量に保有することとなった。ネットフリックスは今後、「ストレンジャー・シングス」に匹敵するメガヒット作品を、ここから生み出したい考えだ。
アマゾンやネットフリックス、アップルといった巨大テック企業らは、今後のコンテンツ拡充に向けてIPの獲得を重要視している。そんな中でコミックや小説は、権利交渉が比較的容易で、少ない投資で多様なコンテンツを生み出せるアイデアの源泉として注目が高まっている。
アマゾンのオーディオブック部門の「Audible」も今年初めに、同様なコンテンツ計画を発表していた。有名ノンフィクション作家のマイケル・ルイスは、Audible独占で4作品の書き下ろしタイトルをリリースしようとしている。このプロジェクトは有名作家が紙の書籍を発行せず、音声コンテツのみで作品を発表する形式として注目を浴びている。
Audible の「オーディオブック・ファースト」戦略は、従来の書籍の定義を曖昧にすると同時に、メディアビジネスにおいて書籍やコミックのクリエイターがいかに重要なポジションに立っているかを示している。