それにもかかわらず調査からは、従業員の大部分が在宅勤務を許可されていないことも分かっている。英企業では、いまだに従業員に柔軟な勤務形態の選択肢が与えられていない事実が浮き彫りとなった。
ジャブラの欧州中東アフリカ地域(EMEA)北部担当マネージングディレクター、ナイジェル・ダンは、従業員の生産性アップには集中できる環境が必要だと指摘した。
「現代の職場環境は騒々しく、開放的な間取りで気が散る要素が多いため、(集中することは)必ずしも可能ではない。現代の職場では、同僚から質問されたり、集中し始めたときにちょうど会議が始まったり、職場で日常的に人が集まっておしゃべりしていたりなどして、集中が妨げられる。また、厳格なオフィス勤務制度は生産的な勤務につながらないという事実もある。多くの従業員が早朝、あるいは夜遅くに働くことを希望しており、朝9時から夕方5時半までの固定勤務時間がベストな人ばかりではない」(ダン)
ダンはまた、在宅勤務を求める従業員の声に耳を傾けていない企業ばかりだという考え方は過去のものと指摘。「多くの企業は、生産性向上の機会を探している。従業員が、在宅勤務の方が効率が上がることを証明できれば、良識ある管理職は少なくとも選択肢として考慮するだろう」と述べた。
一方で彼は、在宅勤務は一般化からは程遠いと述べた。「その主な原因は信用問題。従業員を監督できなくなることについて雇用主が神経質になるのも理解できるが、心配は無用だ。現代の技術を使えば、オフィスにいない従業員をチェックし、コミュニケーションを取ることは簡単にできる。また、従業員同士はどこにいても協働することができる」(ダン)
同調査は、職場での生産性が下がる要因についても調べている。その結果、最大の要因は騒音であることが分かった。従業員が最もいらいらする騒音は、近くで同僚同士がしゃべる声だ。
技術の進歩を受け、2018年には従業員のモバイル化(移動しやすい状態になること)が進んでいるのも驚きではない。自分のメーンの職場から離れて過ごす時間が増えたと答えた人の数も増加し、英国の従業員は平均で、勤務日の約半分を職場の自分のデスク以外の場所で過ごしている。13%は歩き回っている時間、9%は運転時間だ。
ダンは、在宅勤務が増えるにつれ、職場も合理化する必要があるとする。
「企業は、モバイルな従業員がいつ職場に来ても良いように支援しなければならない。開放的な間取りを持ちつつ、小規模な会議やマンツーマンの面談のための会議室・スペース、従業員が落ち着いて静かに仕事に集中できるようなスペースを用意する必要がある」
同調査では、より効率的な会議を開くための課題も見つかっている。オフィス勤務者は、生産的な会議の障壁として、準備不足(38%)、意思決定(30%)、出席者の遅刻(30%)を挙げた。最近いらだつ人が増えている要素の一つは、会議が技術的問題で時間通りに始まらないこと。米国では2018年、技術的問題による会議の遅れが2015年に比べ倍増した。