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吉本興業代表取締役社長の大崎洋

今年1月、吉本興業の幹部社員から電話があった。

「今度、グラミン銀行のムハマド・ユヌス総裁と吉本興業が一緒に会社をつくることになりました。『ユヌス・よしもとソーシャルアクション』と言うんですわ」

なんでやねん。そう切り返すべきだろうが、予想外の話に沈黙すると、電話の主は「どういうスケール感やねん! ようわかりませんわ」と、自分でツッコミを入れていた。

ノーベル平和賞を受賞したバングラデシュの経済学者との意表を突く組み合わせだが、社長・大崎洋の過去の仕事を思い出すと、点と点はつながっていく。

なぜユヌスなのか──。大崎は昨年のクリスマスに初めて会ったと言う。

「お台場のホテルで会食する機会があり、そこで日本という先進国での貧困について喋ったんです。各地方によって貧困の形は違う、と。すると、ユヌスさんのソーシャルビジネスの信条に『楽しみながら取り組む』というのがあるそうで、話をするうちに吉本というお笑いエンターテインメントの会社と組めたらとても面白いという話に発展したんです」

なぜ大崎が地方の問題に詳しいのかというと、彼は2011年、「全国47都道府県 あなたの街に“住みます”プロジェクト」をスタートさせている。「住みます芸人」と呼ばれる若手芸人がエリアスタッフと地域に住み、住民、地元企業、自治体と組んだ町おこしを続けている。

「意外やったんですけどね」と、大崎は言う。「住みます芸人は2億円の経費がかかり、赤字は仕方がないと思っていました。でも、初年度から黒字になったんです。つくづく思うのは、笑いはテレビだけではなく、地元の人々とともにあるんやな、と」。笑いが共同体の「心のインフラ」になっているというわけだ。

住みます芸人は身近な地域課題と向き合っている。人手不足、高齢化、いじめ、過疎化。今回の試みでは、芸人たちが地元の課題を提案し、ITなどを武器とするスタートアップ企業と組んで、「ハッピーを届ける」。クラウドファンディングや投資家から資金を募り、「利益の最大化ではなく、社会問題の解決を目的」とし、楽しみながら継続させる仕組みをつくる。経済的自立を促してきたユヌス流のソーシャルビジネスである。

文=藤吉雅春、大迫知信 写真=帆足宗洋

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